1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!』(ソニー・ミュージックソリューションズ)豊崎 由美
この原稿を書いている十一月初旬というと、エンターテインメント業界では『このミステリーがすごい!』をはじめ、年間ベストテンを選ぶアンケートに…
書評 - 『連続殺人記念日』(東京創元社)豊崎 由美
アメリカ人は時々すごくグロテスクな冗談を思いつく。たとえば、葬儀産業。生前の姿に近くするために遺体防腐処理人は死体にメスを入れ、詰め物をし…
書評 - 『フリッカー、あるいは映画の魔〈上〉』(文藝春秋)豊崎 由美
映画にまつわる最初の記憶といえば、オードリー・ヘップバーンが盲目の人妻に扮した『暗くなるまで待って』。死んだかと思っていた侵入者が、ガバッ…
書評 - 『食物連鎖』(早川書房)豊崎 由美
大学時代、なぜか知らねど、お通夜で線香を絶やさぬがごとくカレーを作り続ける先輩がいた。そのY先輩はまた自称満腹中枢がおかしい人でもあり、焼肉…
書評 - 『カニバル』(青土社)豊崎 由美
昨今のアメリカの例を見るまでもなく、強者は往々にして無神経で無邪気な存在なんである。一九三一年、パリで開催された植民地博覧会。それは、動物…
書評 - 『ハードライフ』(国書刊行会)豊崎 由美
あれれっ? この小説を書いたのって、物語内物語という入れ子構造の極みを贅と尽くした『スウィム・トゥ・バーズにて』や、語り手が物語が始まって早…
書評 - 『千尋の闇〈上〉』(東京創元社)豊崎 由美
今年のオモシロ本ベストスリーに入ること必定の傑作『抱擁』(新潮社)の作者A・S・バイアットがこんなことを書いている。「芸術は、政治のため、教…
書評 - 『奇術師』(早川書房)豊崎 由美
やっと……。クリストファー・プリーストの『奇術師』が書店に並んでいるのを見て、安堵の溜め息をついた意味は、『魔法』を読んだ方ならご理解いただ…
書評 - 『ミドルセックス』(早川書房)豊崎 由美
今からちょうど十年前だったのだ、『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』(ハヤカワepi文庫)というジェフリー・ユージェニデスのデビュー作が日本…
書評 - 『告白』(中央公論新社)豊崎 由美
ぼっふぉん! わたくしの頭が破裂した音だと思ってくださいまし。町田康の『告白』を読んで狂喜したオデのちっちゃな脳味噌が、さらなる細分化を遂げ…
書評 - 『天使の記憶』(新潮社)豊崎 由美
若手天才フルート奏者ラファエルのもとに現れた、メイド志望のドイツ娘サフィー。二人はほどなく結婚するものの、息子が生まれてもなおサフィーはラ…
書評 - 『驚異の発明家の形見函〈上〉』(東京創元社)豊崎 由美
「競売番号六十七番、骨董品の函。四十五センチ×六十三センチ。起源不詳。十九世紀」一九八三年、パリのオークションで「わたし」は奇妙な骨董品と…
書評 - 『鎮魂歌』(早川書房)豊崎 由美
誰でも、一生に一回くらい確信しちゃったりするわけよ。「この人が運命の男(女)だ」とか、「この愛は永遠なの」とかさ。ところが大抵の場合、無惨…
書評 - 『タイドランド』(角川書店)豊崎 由美
もう六年も前のこと(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2004年)。CSのブックレビュー番組で、わたくしはその月のイチオシ作品として、ジャック・…
書評 - 『ララバイ』(早川書房)豊崎 由美
乳幼児突然死症候群の取材をしていた新聞記者のストリーターは、死亡した赤ん坊の親たちが全員『世界の詩と歌』という本を図書館から借りていたとい…
書評 - 『リッチ&ライト』(みすず書房)豊崎 由美
語り手は、三十代最後の夏の休暇をスペインで過ごすことに決めたリュシー。マラガ、エステポナ、セビーリャなどのアンダルシア地方を回り、その後、…
書評 - 『夜の記憶』(文藝春秋)豊崎 由美
両親を事故で一度に亡くし、四つ年上の姉と農場で二人きりの生活をしている十三歳の少年。ある夏の夜、侵入してきた変質者が少年の目の前で姉を陵辱…
書評 - 『文明の子』(幻冬舎)豊崎 由美
ある作品を酷評した場合、できるだけその後も追いかける。そして、もし当方比的に「酷評した作品よりも良い」と思えた時には、そのことをちゃんと書…
書評 - 『行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙』(国書刊行会)豊崎 由美
平凡で退屈な人生から逃れて探検家になった伯父さんが、白いライオンを追い求めて北極へ行き、奇想天外な冒険の末に、とうとうお目当ての幻の獣と出…
書評 - 『幽霊船』(国書刊行会)豊崎 由美
ある朝、行き倒れて、雪に埋まって寝ていた浮浪者が目覚め、「死ななかったのが不思議なくらいだ」とその幸運を喜ぶ。しかし、旅の道連れとなった少…
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