1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『バディ・ボールデンを覚えているか』(新潮社)豊崎 由美
マイケル・オンダーチェを知っているか――。四十三年スリランカ生まれ。五十三年のイギリス移住を経て、五十九年にカナダへ。それらの作品の全てを母…
書評 - 『犯罪』(東京創元社)豊崎 由美
女を見る目がなかっただけじゃないか。フェーナー氏のことを、そう単純に片づけてしまえる人は幸せだ。フェーナー氏は二十四歳の若き医師。二度しか…
書評 - 『ギンイロノウタ』(新潮社)豊崎 由美
絲山秋子をして「紙くず」とまで言わしめるような小説を書いてしまった作家。それが村田沙耶香なんであります。あれは「群像」における合評の席のこ…
書評 - 『透明な対象』(国書刊行会)豊崎 由美
ある仕事を通じて、二十世紀の名作を読み直しているのだけれど、先入観を持たずに接すれば、文豪の作品もまた非常に近しいものとして気軽に楽しめる…
書評 - 『巡礼』(新潮社)豊崎 由美
橋本治の頭の中を覗いてみたい。四六時中何か考えていて、少しでも「?」ときたら、そのことについて何らかの「!」を導き出すまでは考えるのを止め…
書評 - 『真夜中に海がやってきた』(筑摩書房)豊崎 由美
優れたシリアス・ノベルの書き手は予言者を兼ねることがある。彼らは今ここにある危機ではなく、半歩先にある陥穽(かんせい)を予言し、読者に覚醒…
書評 - 『夏化粧』(KADOKAWA)豊崎 由美
「時速一六五kmの剛速球をバックネットにのめり込ませたい」去年インタビューした際に、三十一歳だった池上永一さんが口にした言葉である(ALL REVIE…
書評 - 『子ども諸君』(白水社)豊崎 由美
口の中がねばねばして息が臭い。頭が重くて目を開けるのにもひと苦労。身体はどんより重たくて、気分はもう最悪――。大人の肉体ってのは、実に不愉快…
書評 - 『すべての美しい馬』(早川書房)豊崎 由美
焚き火、ハモニカの音色、夜風にのって届くコヨーテの遠吠え、コーヒーの入った錫(すず)のカップを片手に寡黙な男たち、そしてかたわらの木立には…
書評 - 『火山の下』(白水社)豊崎 由美
フローベールの『ボヴァリー夫人』やナボコフの『ロリータ』なんかが例としてわかりやすいと思うんですが、文学史上に残る傑作とされている作品の多…
書評 - 『パラダイス・モーテル』(東京創元社)豊崎 由美
小説に癒しや救いを求める読者は多い。しかし、泣かせたり、感動させたりっていうのは、実は存外簡単なのだ。巷に溢れかえってるベストセラー本を見…
書評 - 『ベルカ、吠えないのか?』(文藝春秋)豊崎 由美
なんだよー、文藝春秋は。なんで全登場犬の系図をつけないんだよー。そういう一手間をかけるかどうかで売れ行きが変わるっちゅーにさあ。仕方ないか…
書評 - 『子供たち怒る怒る怒る』(新潮社)豊崎 由美
一九八八年、富岡多惠子が高橋源一郎の『優雅で感傷的な日本野球』に登場する幾つかの単語を挙げた上で、「『親密な』サークルだけに通じる符号性を…
書評 - 『読んでいない本について堂々と語る方法』(筑摩書房)豊崎 由美
生来の負けず嫌いのため、二十代の頃、先輩たちが話題にしている本をあたかも自分も読んでいるかのように振る舞って冷や汗をかくことがよくありまし…
書評 - 『エイプリルに恋して』(東京創元社)豊崎 由美
やっぱり自分が一番大切。けど、自分よりも相手を守りたいって気持ちで胸がいっぱいになる一瞬が、たまに訪れたりもする。そう、誰かのことをすごく…
書評 - 『ウィリアム・ブレイクのバット 新版』(幻戯書房)豊崎 由美
何人もの平出隆がいる。架空の国の切手ばかりを描いた画家の足跡をたどる『葉書でドナルド・エヴァンズに』、自宅に遊びに来る仔猫との淡交を綴った…
書評 - 『みずうみ』(河出書房新社)豊崎 由美
つながってゆくつながってゆくつながってゆく。いしいしんじの二年ぶりの新作長篇『みずうみ』を読んでいる間、読み終えた今、わたしの中でいろんな…
書評 - 『この世を離れて』(早川書房)豊崎 由美
コノサカヅキヲ受ケテクレドウゾナミナミツガシテオクレハナニアラシノタトエモアルゾ「サヨナラ」ダケガ人生ダ『山椒魚』で知られる作家・井伏鱒二…
書評 - 『夜明け前のセレスティーノ』(国書刊行会)豊崎 由美
レイナルド・アレナスといえば、本好きには八十九年に訳された傑作『めくるめく世界』(国書刊行会)によって、映画ファンには昨年公開された『夜に…
書評 - 『海の仙人』(新潮社)豊崎 由美
『指輪物語』のJ・R・R・トールキンは、ファンタジーには三つの機能があると定義している。慣習で曇ってしまった目を浄化する〈回復〉、幸福な結末が…
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