1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『ジャイアンツ・ハウス』(新潮社)豊崎 由美
五十年代、アメリカはケープ・コッドの田舎町の図書館で、二十五歳の孤独な女性司書ペギーと、十四歳年下の少年ジェイムズが出会う。身長がその時す…
書評 - 『いつか棺桶はやってくる』(小学館)豊崎 由美
やられたなー。本のセレクトショップを経営するかたわら、〇三年に作家デビューを果たした藤谷治の最新刊『いつか棺桶はやってくる』の33章を読んで…
書評 - 『酒国―特捜検事丁鈎児の冒険』(岩波書店)豊崎 由美
食にまつわる傑作は古今東西数多い。記憶容量の小さな我がお粗末な脳ミソから引っぱり出してくるだけでも、クレッシング『料理人』、ニコルスン『食…
書評 - 『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)豊崎 由美
物語の舞台となっているのは、人類が植民して二百年足らずの双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。かつてサント・アンヌには、姿を自在に変える…
書評 - 『アムステルダム』(新潮社)豊崎 由美
とかくお涙頂戴系の作品ばかりが話題になりやすい、いかにも湿度高めなニッポンの読書界。が、しかし、皆さん。笑いなくして、何が人生かっ。新しい…
書評 - 『魔の聖堂』(新潮社)豊崎 由美
中世詩の贋作(フェイク)作家として知られている夭折の天才詩人トマス・チャタトンが、実は五十歳を過ぎるまで生き続けていて、同時代の有名詩人の…
書評 - 『ロンドン』(集英社)豊崎 由美
イギリス文学にはスコットの『アイヴァンホー』を嚆矢(こうし)に、ディケンズ、トマス・ハーディ、スティーヴンソンといった大作家を経て、現代作…
書評 - 『そのときは彼によろしく』(小学館)豊崎 由美
「寄らば斬る!」じゃねーよ。おめえが勝手に寄ってきちゃ斬りかかってくるだけじゃんよ。寄ってくんじゃねっつーの。おっしゃるとおりでございます…
書評 - 『ウォーターランド』(新潮社)豊崎 由美
ユーゴスラビアの作家ダニロ・キシュに、『死者の百科事典』(東京創元社)という素晴らしい短篇がある。無名の人々の人生の全てを記載した百科事典…
書評 - 『白い果実』(国書刊行会)豊崎 由美
独裁者ビロウの精神世界を具現化させた〈理想形態市(ウェルビルトシティ)〉を首都とする東の帝国。科学と魔法双方に長じた天才ビロウは〈クリスタ…
書評 - 『夢を与える』(河出書房新社)豊崎 由美
たまげた。九月に発売された文芸誌「文學界」「新潮」「群像」の十月号が軒並み好調な売れ行きを示したんだそうな。朝日新聞十月六日夕刊に掲載され…
書評 - 『メイの天使』(東京創元社)豊崎 由美
大人になると、入学式もなければクラス替えもなく、ドキドキするような出会いの場なんて、合コンくらいになってしまう。そんな誂(あつら)えものめ…
書評 - 『サロン・ドット・コム 現代英語作家ガイド』(研究社)豊崎 由美
ヴァージニア・ウルフがあるエッセイの中で、書評家なんてガター(要約を抜き取り)&スタンプ(評価を印でつける)だけやっていればいい、というよ…
書評 - 『レターズ〈1〉』(国書刊行会)豊崎 由美
二〇〇〇年の翻訳小説の収穫といえば、当然ながらリチャード・パワーズの『舞踏会へ向かう三人の農夫』(みすず書房)がその一冊に挙げられると思う…
書評 - 『白檀の刑〈上〉』(中央公論新社)豊崎 由美
物語の舞台は作者の故郷・山東省高密県。一九〇〇年、山東省の膠州湾一帯を清朝から無理やり租借したドイツが膠済鉄道の敷設に着手し――という史実を…
書評 - 『星のしるし』(文藝春秋)豊崎 由美
八月から九月にかけてのメガ・ノヴェル新刊ラッシュにかまけて読めていなかったものの、気になっていた本を少しずつフォローしている日々ですの。で…
書評 - 『老人ホーム 一夜の出来事』(東京創元社)豊崎 由美
へえ~え、こんなにユニークな作家がいたんだ! その名もB・S・ジョンソン。海外文学は翻訳を通じてしか読めないという方の大半にとっては、名前すら…
書評 - 『小さいおうち』(文藝春秋)豊崎 由美
遅れて生まれてきた者にとって、歴史は常に大文字です。しかも、なんか、こう、太ゴシック体でごついイメージの。「一九三六年 二・二六事件」「一九…
書評 - 『食糧棚』(白水社)豊崎 由美
幼い頃「ごんぎつねは三度の飯よりいたずらが好きだそうですが、わたしは三度の飯より四度の飯が好きです」という噴飯ものの感想文を書いたくらいで…
書評 - 『残光』(新潮社)豊崎 由美
私は保坂さんのいうことは信じるに足る、といつも思うくせがついている。不思議なことに一つを除いてそうなのだ。その一つとは、私が日本で信じるに…
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