
1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『鎮魂歌』(早川書房)豊崎 由美
誰でも、一生に一回くらい確信しちゃったりするわけよ。「この人が運命の男(女)だ」とか、「この愛は永遠なの」とかさ。ところが大抵の場合、無惨…
書評 - 『タイドランド』(角川書店)豊崎 由美
もう六年も前のこと(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2004年)。CSのブックレビュー番組で、わたくしはその月のイチオシ作品として、ジャック・…
書評 - 『ララバイ』(早川書房)豊崎 由美
乳幼児突然死症候群の取材をしていた新聞記者のストリーターは、死亡した赤ん坊の親たちが全員『世界の詩と歌』という本を図書館から借りていたとい…
書評 - 『リッチ&ライト』(みすず書房)豊崎 由美
語り手は、三十代最後の夏の休暇をスペインで過ごすことに決めたリュシー。マラガ、エステポナ、セビーリャなどのアンダルシア地方を回り、その後、…
書評 - 『夜の記憶』(文藝春秋)豊崎 由美
両親を事故で一度に亡くし、四つ年上の姉と農場で二人きりの生活をしている十三歳の少年。ある夏の夜、侵入してきた変質者が少年の目の前で姉を陵辱…
書評 - 『文明の子』(幻冬舎)豊崎 由美
ある作品を酷評した場合、できるだけその後も追いかける。そして、もし当方比的に「酷評した作品よりも良い」と思えた時には、そのことをちゃんと書…
書評 - 『行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙』(国書刊行会)豊崎 由美
平凡で退屈な人生から逃れて探検家になった伯父さんが、白いライオンを追い求めて北極へ行き、奇想天外な冒険の末に、とうとうお目当ての幻の獣と出…
書評 - 『幽霊船』(国書刊行会)豊崎 由美
ある朝、行き倒れて、雪に埋まって寝ていた浮浪者が目覚め、「死ななかったのが不思議なくらいだ」とその幸運を喜ぶ。しかし、旅の道連れとなった少…
書評 - 『ジャイアンツ・ハウス』(新潮社)豊崎 由美
五十年代、アメリカはケープ・コッドの田舎町の図書館で、二十五歳の孤独な女性司書ペギーと、十四歳年下の少年ジェイムズが出会う。身長がその時す…
書評 - 『いつか棺桶はやってくる』(小学館)豊崎 由美
やられたなー。本のセレクトショップを経営するかたわら、〇三年に作家デビューを果たした藤谷治の最新刊『いつか棺桶はやってくる』の33章を読んで…
書評 - 『酒国―特捜検事丁鈎児の冒険』(岩波書店)豊崎 由美
食にまつわる傑作は古今東西数多い。記憶容量の小さな我がお粗末な脳ミソから引っぱり出してくるだけでも、クレッシング『料理人』、ニコルスン『食…
書評 - 『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)豊崎 由美
物語の舞台となっているのは、人類が植民して二百年足らずの双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。かつてサント・アンヌには、姿を自在に変える…
書評 - 『アムステルダム』(新潮社)豊崎 由美
とかくお涙頂戴系の作品ばかりが話題になりやすい、いかにも湿度高めなニッポンの読書界。が、しかし、皆さん。笑いなくして、何が人生かっ。新しい…
書評 - 『魔の聖堂』(新潮社)豊崎 由美
中世詩の贋作(フェイク)作家として知られている夭折の天才詩人トマス・チャタトンが、実は五十歳を過ぎるまで生き続けていて、同時代の有名詩人の…
書評 - 『ロンドン』(集英社)豊崎 由美
イギリス文学にはスコットの『アイヴァンホー』を嚆矢(こうし)に、ディケンズ、トマス・ハーディ、スティーヴンソンといった大作家を経て、現代作…
書評 - 『そのときは彼によろしく』(小学館)豊崎 由美
「寄らば斬る!」じゃねーよ。おめえが勝手に寄ってきちゃ斬りかかってくるだけじゃんよ。寄ってくんじゃねっつーの。おっしゃるとおりでございます…
書評 - 『ウォーターランド』(新潮社)豊崎 由美
ユーゴスラビアの作家ダニロ・キシュに、『死者の百科事典』(東京創元社)という素晴らしい短篇がある。無名の人々の人生の全てを記載した百科事典…
書評 - 『白い果実』(国書刊行会)豊崎 由美
独裁者ビロウの精神世界を具現化させた〈理想形態市(ウェルビルトシティ)〉を首都とする東の帝国。科学と魔法双方に長じた天才ビロウは〈クリスタ…
書評 - 『夢を与える』(河出書房新社)豊崎 由美
たまげた。九月に発売された文芸誌「文學界」「新潮」「群像」の十月号が軒並み好調な売れ行きを示したんだそうな。朝日新聞十月六日夕刊に掲載され…
書評 - 『メイの天使』(東京創元社)豊崎 由美
大人になると、入学式もなければクラス替えもなく、ドキドキするような出会いの場なんて、合コンくらいになってしまう。そんな誂(あつら)えものめ…
書評