最新の翻訳研究(トランスレーション・スタディーズ)ではなにが論じられているのか? 本書では、「グーグル翻訳は原文の等価物か?」「『直訳』『意訳』という二分法は正しいのか?」といった身近な問題から、文学作品が翻訳を通じて新たな力を獲得しうるという「翻訳の詩学」と著者が呼ぶものまで、「翻訳translation」という事象が含む論点の広がりが一望できるようになっている。
わたしたちが他者とコミュニケーションするにあたって、言語が重要な媒体としてあらわれる以上、「翻訳」を避けて通ることは不可能だ。著者に言わせれば、翻訳とは、言語や文化が接触するところにかならず生じるものであるためだ(それは必ずしも「外国語」や「異文化」に限らない)。翻訳は、言語や文化がはらむ差異の存在をあばきながら、その差異を楽しませてくれる。著者がくりかえし強調する点はここにある。
マンガの翻訳やアニメのファンサブ、特異な「翻訳」として近年注目を集めている「漢文訓読」など、日本の読者にとって親しみやすい例が挙げられているのも本書の魅力。さらに、訳者による、日本の読者むけの読書案内を巻末に付した。その他の書店
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