『大衆の反逆』(白水社)
久野 収
テロと恐慌で風雲急を告げるヨーロッパ……「下降と凋落の時代」に立ち現れたものは? ポピュリズムに揺れる現代が百年前と重なる。
オルテガはスペインを代表する哲学者。早くから現代が歴史上の一大転換期であることを見抜き、そこに含まれる危機の克服をめざして警鐘を鳴らし続けてきた。 本書は彼の代表作。現代の危機的状況を大衆の反逆という現象を通して指摘している。
大衆の反逆とは、「大衆が完全に社会的権力の座に上がったこと」であり、現代の特徴は、「凡俗な人間が、自分が凡俗であることを知りながら、敢然と凡俗であることの権利を主張し、それをあらゆる所で押し通そうとするところにあり、その責任は、すぐれた少数者の指導やリーダーシップの欠如にあり、彼らが大衆に生のプログラムを与えなかったことに由来する」と説いている。現代を大衆の時代と断定し、20世紀の本質を衝いた不朽の名著。
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