読めない人が「読む」世界:読むことの多様性 / マシュー・ルベリー
読めない人が「読む」世界:読むことの多様性
  • 著者:マシュー・ルベリー
  • 翻訳:片桐 晶
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(380ページ)
  • 発売日:2024-03-12
  • ISBN-10:4562074043
  • ISBN-13:978-4562074044
内容紹介:
正常な読み方なんてない読むことに困難を抱える人々はどのように読んでいるのか?難読症(ディスレクシア)、過読症(ハイパーレクシア)、失読症(アレクシア)、共感覚、幻覚、認知症の… もっと読む
正常な読み方なんてない

読むことに困難を抱える人々はどのように読んでいるのか?

難読症(ディスレクシア)、過読症(ハイパーレクシア)、失読症(アレクシア)、共感覚、幻覚、認知症の人々の読み方とは

この本では、型破りな方法で文字を読む人々の物語と、活字を理解する能力に影響を及ぼす多種多様な神経学的状態が、彼らの生活に及ぼしてきた影響を取り上げる。独特な方法で情報を処理する脳を持つニューロダイバージェントと呼ばれる人々は、どのように文字を読んできたのだろう。
(本文より)

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いま世界では、「多様性(ダイバーシティ)」という言葉が、健全な未来を築くにあたってのキーワードとして盛んに用いられている。人種、国籍、性別、文化、信仰といったものの違いを尊重して、集団のなかに異なる属性の人々を包摂するという概念だ。そして、いままでは障害とみなされてきた脳や神経(ニューロ)の特性をその人の個性として受け入れようとする考え方が、「ニューロダイバーシティ」と呼ばれている。本書は、ニューロダイバーシティに深く関わる行為としての「読字」、つまり、文字を読む行為に着目したユニークな作品だ。
(中略)
とはいっても、子どものころからすらすらと文字を読んできた人や、読書を趣味や生きる糧にしている人、情報収集のために速読を常としている人たちには、ディスレクシアの人々が直面している苦労はどこか他人事に思えるのではないだろうか。本書の真骨頂は実はその先にあって、識字能力が簡単に失われてしまう現実にも多くの頁が割かれている。
(中略)
そうした人々の姿を通して、著者のマシュー・ルベリーはこう訴える――世の中で〝正しい〟とされてきた読み方にこだわることはない。好きなように文字を追ってもかまわない。オーディオブックを聞くのだって立派な読書だ。さらに言えば、大好きな本を手に取り、紙の感触を確かめながら頁をめくり、本を五感で味わうことだって、「読書」と呼べるのではないだろうか?
つまりそれは、文字を読む行為にも多様性を認めようという主張であり、「あなたはあなたのやり方で読めばいい」という著者からのエールでもあるのだ。ぜひとも、ご一読を。
(「訳者あとがき」より)
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目次

序章 厄介な読者

第一章 難読症――ディスレクシア

第二章 過読症――ハイパーレクシア

第三章 失読症――アレクシア

第四章 共感覚――シナスタジア

第五章 幻覚

第六章 認知症

終章

訳者あとがき

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