
卓抜した航海技術を持つ北方人の実像に迫る
ヴァイキングは海岸伝いに襲撃・略奪する恐るべき武装集団というイメージが強いが、実態は通商や貿易、定住と農業や漁業を行い、探検を重ねながら世界中に痕跡を残した北方の民である。
神話とサガ、造船技術、航海術、装飾芸術、武器や戦法、社会と法、その遺産など、伝説と歴史のはざまから、彼らの文化と遺産、未解明の謎を追い、8世紀から11世紀の壮大な物語に迫る。
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キリスト教会は彼らの修道院を破壊するヴァイキングを恐れ、憎んだ。著名な聖職者たちは襲撃者の行為を記録し、広く知らせることに努めた。彼らが激怒したのは当然のことだ。しかし聖職者たちが記録したのは一方の側から見た歴史だった。結局のところ、ヴァイキングは襲った相手が悪かったせいで余計に悪評を立てられる羽目になったのだ。聖職者たちが残した記録のおかげで、彼らはその後長いあいだ敵意のこもった目で見られることになった。
ヴァイキングが暴力的な人々だったことは事実だ。交易を求めて探検に漕ぎ出す人々にとって、肉体的な強さと戦闘能力は欠くことのできない資質であり、彼らの住居、家族、共同体を敵から守るためにも男は強くなければならなかった。
ヴァイキングの視点から見れば、彼らの行動には真っ当な理由があった。中には暴力や破壊そのものを楽しんだメンバーもいたことは否定できないにしても、彼らの行為には経済的、政治的、社会的な理由があったのだ。彼らは見境なく人を殺す殺人狂ではなかった。
(「序章」より)
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