パリを離れ、中南北米、中国大陸や東南アジア、ニューヨークへ。
フジタの旅路と色彩に焦点をあて、その画業と生涯をたどる画集。
土地の風景や人物、異国の歴史や風俗を求めて
1920年代「乳白色の肌」を完成、パリ画壇の寵児となるフジタ。
その後パリを離れ、長い旅路のなかで、あらたなモティーフや群像表現のための構図、豊かな色彩による表現手法を開拓する。
その変遷が図版とテキストにより詳細にわかる内容となっている。
箱根ポーラ美術館で開催する展覧会公式カタログ兼書籍。
1. 世界を旅した画家フジタの色あさやかな作品群
フジタといえば「パリ」や「乳白色の肌」、「猫」などを連想するが、実は1930年頃から世界中を旅し、旅先をアトリエとして色彩豊かな作品を数多く描いた。
とりわけ1930年代前半から中頃までの中南米や日本国内、中国への旅では、その土地の歴史や風俗、民具、建築などへの関心を高め、現地でのスケッチや旅先で撮影した写真、自ら収集した民俗資料などを画面に取り込むことによってオリジナリティーに溢れる絵画を制作。
世界を旅したフジタの色あざやかな作品を多数掲載。
2. ポーラ美術館新収蔵の「乳白色の肌」の手法による作品収録
ポーラ美術館は「乳白色の肌」の手法による2点の油彩画(《坐る女》、《イヴォンヌ・ド・ブレモン・ダルスの肖像》)を新たに収蔵。
特に、1921年制作の《坐る女》は「乳白色の肌」の技法を編み出して間もない頃の肖像画であり、滑らかな絵肌と墨による繊細な輪郭線、柔らかなぼかしによって素朴な雰囲気の漂う作品であり、1922年のサロン・デ・ザンデパンダン展に出品された可能性の高い、フジタの初期の代表的な作品の1点。
3. 連作「小さな職人たち」多数掲載
連作「小さな職人たち」は、フジタが戦後パリで暮らしたアパルトマンの壁を飾るために制作した色彩豊かな壁画である。
15センチメートル四方の各パネルには、かわいらしい子どもたちが、古き良きパリの職業人たちに扮する主題などが油彩で描かれている。フジタは手仕事に打ち込む名もなき職人(アルティザン)たちの姿に自らを重ねていた。
本書ではその多数を掲載。
4.フジタが旅先で集めた旅の品々、撮影した写真
フジタは訪れた国々の歴史や風俗、生活用具、家屋などに関心を寄せ、仮面や土偶、玩具などを買い集めた。
また、現地の人々の営みに興味を抱き、しばしばそれらをファインダー越しにとらえた。
本書ではフジタが収集した品々のほか、1930-1940年代に中南米~日本を中心に撮影された写真を厳選して紹介。
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