私たちがやったこと / レベッカ・ブラウン
私たちがやったこと
  • 著者:レベッカ・ブラウン
  • 翻訳:柴田 元幸
  • 出版社:マガジンハウス
  • 装丁:単行本(221ページ)
  • 発売日:2002-09-01
  • ISBN-10:4838713622
  • ISBN-13:978-4838713622
内容紹介:
HIV患者と彼らを介護するホームケア・ワーカーとの交流を描いた連作短編集、『体の贈り物』のレベッカ・ブラウンが描いた幻想的な物語集『私たちがやったこと』。本書には7つの短編が収録され… もっと読む
HIV患者と彼らを介護するホームケア・ワーカーとの交流を描いた連作短編集、『体の贈り物』のレベッカ・ブラウンが描いた幻想的な物語集『私たちがやったこと』。本書には7つの短編が収録されている。
1つひとつのストーリーがまるで映画のワンシーンを見ているかのように鮮明なイメージを抱かせる一方で、内容そのものはどこかあいまいで、登場人物たちも中性的な印象を残す。本書で語られているのは『体の贈り物』ではほとんど見られることのなかった非日常世界とそこに潜むある種の狂気。特に本書のタイトルにもなった「私たちがやったこと」ではその狂気が恋人たちを、1人は目をつぶし、1人は耳の中を焼くという異常な行為に導いてしまう。

読者は、著者の独創的な想像力の波に容易にさらわれ、五感で味わう読書の醍醐味を見出すだろう。ゆらゆらと揺られながら、次第に物語の中枢にのめり込んでゆく。

本書では、登場人物は「私」と「あなた」で語られ、名前が付いていない場合が多い。そのため性別や文脈、人間関係などに関してやや不明瞭な印象を受けるかもしれないが、それが本書の特徴を形成する重要な要素の1つであるともいえる。そして読書後、数日経ても物語の深層を追っている自分がいることに気づくだろう。(戸澤敏子)

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