張競|2009年今年の三冊『江戸演劇史(上・下)』『近代書史』『犬の帝国 幕末ニッポンから現代まで』
張 競
しかしほんの一五〇年ほど前、「野蛮な」日本犬と「文化的な」洋犬は、日本と西欧の文化的軋轢の象徴でもあり、「文明開化」の掛け声とともに在来の犬は受難の時代をくぐってきた。
ところが昭和に入ると一転して「日本の犬」こそが帝国のシンボルにふさわしいと「忠犬」ハチ公がもてはやされ、挙国一致の戦争に多数の軍犬たちが動員され、死んでいった。
そして、現代。ペット大国日本の犬たちは、主人たちとともに大量消費の時代を迎え、生活習慣病に悩むものまで現れている。
犬という鏡に映し出された近現代日本の姿を、気鋭の米国人歴史家が鮮やかに切り取る。
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