『幕末の女医、松岡小鶴 1806-73 〔柳田国男の祖母の生涯とその作品 西尾市岩瀬文庫蔵『小鶴女史詩稿』全訳〕』(藤原書店)
蜂飼 耳
柳田国男の祖母、松岡小鶴は病弱な少女時代に、父が門人に教えるのを傍らで聞いて儒・仏・和学・算学を学び、長じては独学で医術を身につけた。父の没後に、一人息子を育てつつ、医師として診療をし、寺子屋をいとなみもした。子間引きの悪習をやめさせるよう説ききかせた女性でもある。
離れて暮らす息子に母の思いを書き送った「南望篇」、そしてすぐれた天分を発揮した漢詩、心こもる手紙。小鶴の世界を、読み下し文、豊富な注、そして現代語訳で読み解きながら、その稀有な人物像に迫る。
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