文芸時評

大森望「新刊めったくたガイド」本の雑誌2001年4月号『タクラマカン』他

  • 2017/11/15

ブルース・スターリング短篇集『タクラマカン』の暴走と成熟

先月(事務局注:本原稿の掲載は2001年4月)のイーガン『祈りの海』に続いて、オールタイムベスト級のSF短篇集がまた一冊。ブルース・スターリング『タクラマカン』(小川隆ほか訳/ハヤカワ文庫SF)★★★★☆は、〝未来を描くSF〟の現在進行形である。本書の白眉は、後半に収められているチャタヌーガ三部作。物語性を無視して徹底的に細部に淫する「ディープ・エディ」の過激さはスターリングの面目躍如。いきなりこんなの読まされてもという人には、著者初のヒューゴー賞受賞作「自転車修理人」をおすすめしたい。ニール・スティーヴンスンばりのキャラクター小説で、とりわけ母親との会話は爆笑。作家的成熟を感じさせる余裕たっぷりのユーモアが絶妙の味わい。ハイテク・エスピオナージュを書かせると昔から天下一品の人だけに、巻末の表題作もすばらしい。タクラマカン砂漠に密かに建設された〝巨大星間宇宙船基地〟の正体と描写には茫然。小品ながら、インド映画の現場を描く愉快な異色作「聖なる牛」もいい。大森訳も一本だけ混入してますが(ラッカーと合作の「クラゲが飛んだ日」)これは誰がどう見てもラッカーのネタでしょう。巻頭の「招き猫」は、日本人読者にはやや気恥ずかしいかも。

タクラマカン  / ブルース・スターリング
タクラマカン
  • 著者:ブルース・スターリング
  • 翻訳:小川 隆,大森 望
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(442ページ)
  • 発売日:2001-01-01
  • ISBN-10:4150113416
  • ISBN-13:978-4150113414
内容紹介:
タクラマカン砂漠に発見された、秘密宇宙基地と推測される巨大施設―軍に雇われたふたりの登山家が潜入偵察におもむいたその場所には、自己進化を続ける奇怪なロボットの群れ、そして巨大な陰謀… もっと読む
タクラマカン砂漠に発見された、秘密宇宙基地と推測される巨大施設―軍に雇われたふたりの登山家が潜入偵察におもむいたその場所には、自己進化を続ける奇怪なロボットの群れ、そして巨大な陰謀が待ち受けていた…ヒューゴー賞、ローカス賞の二冠に輝く表題作ほか、同じ世界を舞台にした「ディープ・エディ」「自転車修理人」など、俊英スターリングが近未来の社会を比類なき想像力で描きだした七篇を収録する傑作集。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

この『タクラマカン』と『祈りの海』を読めば〝短篇SFの今〟の最高水準がほぼ把握できるわけだが、歴史的な流れを知ることも重要。中村融・山岸真編の年代別傑作選《20世紀SF》全六巻(河出文庫)は、『②1950年代 初めの終わり』★★★★と、『③1960年代 砂の檻』★★★が出ている。前者では、フレデリック・ポール「幻影の街」が圧巻。六月十五日が毎日くりかえされる、CMだらけの街。だが、住人は誰もその異常さに気づかない……。「ダークシティ」も「13F」もホーガン『仮想空間計画』も青ざめる、人工現実SFの先駆的傑作。このオチはちょっと予想できません。定番の名作では、シェクリイの「ひる」、ヘンダースンの「なんでも箱」が今も読ませる。アンダースン「サム・ホール」、ベスター「消失トリック」、コーンブルース「真夜中の祭壇」あたりも上々の選択。あと、自分で訳してて言うのもなんですが、スタージョンの「たとえ世界を失っても」がめちゃめちゃ変な話で、『一角獣・多角獣』邦訳版から割愛されたのもよくわかる超絶ぶり。やっぱり五〇年代は侮れない。

20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり  / レイ・ブラッドベリ,フィリップ・K. ディック,リチャード・マシスン,ゼナ・ヘンダースン,ロバート・シェクリイ
20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり
  • 著者:レイ・ブラッドベリ,フィリップ・K. ディック,リチャード・マシスン,ゼナ・ヘンダースン,ロバート・シェクリイ
  • 編集:中村 融,山岸 真
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:文庫(501ページ)
  • 発売日:2000-12-00
  • ISBN-10:4309462030
  • ISBN-13:978-4309462035
内容紹介:
英米SFを年代別に集大成!第2巻は一大SFブームがおきた1950年代編。電化製品があふれる一方、核実験が繰返された時代、SFは質・量ともに充実し、ひとつの頂点を迎えた。庭の芝生で老夫婦が空を見あげて待つものは…過去への郷愁と未来への希望を描いたブラッドベリの表題作、時代の不安が色濃くただようディックの初期の名作ほか、黄金の全14篇。

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20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻  / アーサー・C. クラーク,ロジャー・ゼラズニイ,ハーラン・エリスン,サミュエル・R. ディレイニー,J.G. バラード
20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻
  • 著者:アーサー・C. クラーク,ロジャー・ゼラズニイ,ハーラン・エリスン,サミュエル・R. ディレイニー,J.G. バラード
  • 編集:中村 融,山岸 真
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:文庫(501ページ)
  • 発売日:2001-02-01
  • ISBN-10:4309462049
  • ISBN-13:978-4309462042
内容紹介:
20世紀の英語圏SFを年代別に集大成したシリーズ第3巻は、「新しい波」運動が華々しく展開され、SFの可能性を拡大した、激動の1960年代編!火星の砂に埋もれた滅びゆく世界を描いた、時代の旗手バラードの記念碑的作品「砂の檻」、映画『2001年宇宙の旅』にて巨匠の地位を不動にしたクラークの名作、SF界のカリスマ作家エリスンの出世作ほか全14篇。

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それに対して、アメリカン・ニューウェーヴご三家を巻頭から並べた『砂の檻』は、やや疑問の残る選択。エリスンの「チクタクマン」、ディレイニーの「コロナ」はともかく、いくらなんでもゼラズニイが「復讐の女神」ってことはないでしょう。コードウェイナー・スミスのできそこないみたいな中篇で、当時はかっこよくても今読むと古臭い。本邦初訳のディクスン「イルカの流儀」もレベル的にどうか……といろいろ文句はあるものの、ディッシュ「リスの檻」、ウィルヘルム「やっぱりきみは最高だ」の収録は快挙だし、ラファティ「町かどの穴」は何度読んでも傑作。シルヴァーバーグ「太陽踊り」、オールディス「讃美歌百番」、ヴァンス「月の蛾」あたりが並ぶ後半もなかなか。

続いて国内のオリジナル・アンソロジーを二冊。日本SF作家クラブ編『2001』(早川書房)★★★は、新井素子、神林長平、田中光二、谷甲州などの全十一篇。著者別あいうえお順配列はどうかと思うし、値段に見合う水準に達しない作品も二、三あるが、ジャンルSFのショウケースとして貴重な一冊。荒巻義雄「ゴシック」は往年の荒巻短篇を彷彿とさせる力作。若手では、瀬名秀明の「ハル」が著者らしいロボットSFの秀作。藤崎慎吾は堅実で、三雲岳斗のパズラーも(内容的にはやや場違いだが)悪くない。しかしこの顔ぶれでもやはりいちばん目立つのは、「逃げゆく物語の話」の牧野修。森岡浩之や野阿梓にもっと冒険してほしかった気が。

2001 /
2001
  • 編集:日本SF作家クラブ
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:単行本(541ページ)
  • 発売日:2000-12-00
  • ISBN-10:4152083247
  • ISBN-13:978-4152083241
内容紹介:
本書は、日本SF作家クラブが中心となって企画された初めてのオリジナル・アンソロジー。新しい世紀の始まりにあたって、稀代のSF作家たちが提示する、全篇新作書き下ろしの競演。いわばミレニ… もっと読む
本書は、日本SF作家クラブが中心となって企画された初めてのオリジナル・アンソロジー。新しい世紀の始まりにあたって、稀代のSF作家たちが提示する、全篇新作書き下ろしの競演。いわばミレニアム特別企画として、発案された。その結果、ベテランの作家から新人まで、いずれも力作が集まった。さまざまな主題と問題作が共存するこのSF世界は、二十一世紀に開かれた科学文明の世界観にわたる夢を織り込んでいるといっても、過言ではあるまい。

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〝ハイブリッド・エンタテインメント・アンソロジー〟と銘打つ『NOVEL21 少年の時間』(徳間デュアル文庫)★★★★のほうは、西澤保彦のミステリを除く五篇がSF。上遠野浩平「鉄仮面をめぐる論議」は虚空牙もので、コードウェイナー・スミスのパスティーシュとしてはゼラズニイより優秀。菅浩江「夜を駆けるドギー」は、2ちゃんねる用語が炸裂する現在形のペットロボットもの。平山夢明「テロルの創世」は、××××ネタのSFを意外にも(失礼)エレガントに処理した秀作。巻末の山田正紀「ゼリービーンズの日々」は、上遠野浩平『ぼくらは虚空に夜を視る』への返歌か。詩的なイメージが光る力作だが、説明しすぎて(ヒルベルト空間ネタがくどい)惜しくも傑作になり損ねた感じ。全体的にはきわめて対費用効果の高いアンソロジーで、続巻の『少女の空間』にも期待したい。

NOVEL21 少年の時間―text.BLUE  /
NOVEL21 少年の時間―text.BLUE
  • 編集:デュアル文庫編集部
  • 出版社:徳間書店
  • 装丁:単行本(331ページ)
  • 発売日:2001-01-00
  • ISBN-10:4199050345
  • ISBN-13:978-4199050343
内容紹介:
さまざまなジャンルで活躍する個性あふれる実力派作家たちが、一堂に会した!!全作品書き下ろしのオリジナル・アンソロジー。ハイブリッド&クロスオーバー化がすすむ、新世紀エンタテインメントの『いま』がここに。山田正紀&西沢保彦の対談付き。

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そのデュアル文庫からは、第一回小松左京賞最終候補に残りながら(新人じゃないという理由で)受賞を逸した北野勇作『かめくん』★★★★が出た。主人公のかめくんは、名前の通りのカメ。ただし本物のカメではない。木星戦争の兵器として開発された一種のカメ型ロボットなのである(レプリカントのカメなので、〝レプリカメ〟とも呼ばれる)。リストラで職を失い寮を追い出されたかめくんは、安アパートのクラゲ荘に引っ越し、新しい仕事をさがす。今度の就職先は、万博跡地にある倉庫会社。フォークリフトの運転ができるという特技を生かして、かめくんは意外と順調に働きはじめる。仕事帰りには商店街で買い物をして、部屋で好物のリンゴを食べる。休みの日には図書館に行って本を借り、アルバイトをしている大学院生のミワコさんとおしゃべりをする。かめくんは自分が本物のかめではないことを知っている。ただ冬眠のしかただけ思い出せない……。

かめくん  / 北野 勇作
かめくん
  • 著者:北野 勇作
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:文庫(292ページ)
  • 発売日:2012-08-04
  • ISBN-10:4309411673
  • ISBN-13:978-4309411675
内容紹介:
かめくんは自分がほんもののカメではないことを知っている。クラゲ荘に住みはじめたかめくんは模造亀。新しい仕事は特殊な倉庫作業。リンゴが好き。図書館が好き。昔のことは憶えていない。とくに木星での戦争に関することは…。日常生活の背後に壮大な物語が浮上する叙情的名作。日本SF大賞受賞。

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という感じで、かめくんの日常がペーソス豊かなタッチで淡々と語られてゆく。その背後に垣間見えるSF設定と未来社会が魅力。機械知性の哀しみをかくもさりげなく痛切に描いた小説はかつてない。おもろうて、やがて哀しき傑作だ。

なお同文庫からは、山本弘の本格SF『時の果てのフェブラリー』の改稿版と菅浩江の星雲賞受賞作『メルサスの少年』も再刊。未読の人はお見逃しなく。また、前月出た浅暮三文の新作『夜聖の少年』★★は古き良きSFジュブナイルの香り豊かな少年小説だ。

夜聖の少年  / 浅暮 三文
夜聖の少年
  • 著者:浅暮 三文
  • 出版社:徳間書店
  • 装丁:単行本(362ページ)
  • 発売日:2000-12-00
  • ISBN-10:4199050256
  • ISBN-13:978-4199050251
内容紹介:
発光する体。それは人が〈大人〉になる儀式のためのシグナルだった。抑制遺伝子を移植され、清廉な社会の一員となるという義務―それを拒んだ少年たちは、土竜と呼ばれていた。日の当たらぬ地下… もっと読む
発光する体。それは人が〈大人〉になる儀式のためのシグナルだった。抑制遺伝子を移植され、清廉な社会の一員となるという義務―それを拒んだ少年たちは、土竜と呼ばれていた。日の当たらぬ地下に住み、いつも腹を空かせ、秩序をまもる炎人から逃げまわる日々。しかし、そんな土竜の一人だったカオルが、閉鎖された研究室で、謎の巨人を見つけた時、封印されていた真実が解き明かされはじめる。僕は誰なのか?この世界は正しいのか?少女マリアと二人で探索の旅に出たカオルが知ったこととは…。

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ハルキ文庫《新ヌ ーヴエル世紀SF》叢書では、林譲治『侵略者の平和』三部作が完結。第三部『融合』★★★★は、技術レベルの低い防衛側が知恵と勇気で侵略者を撃退する、まさに『知性化戦争』ばりのレジスタンス小説だが、ブリン的なヒューマニズムとは無縁の結末に驚愕。『かめくん』と並んで、二一世紀日本SF最初の収穫。

侵略者の平和〈第一部〉接触  / 林 譲治
侵略者の平和〈第一部〉接触
  • 著者:林 譲治
  • 出版社:角川春樹事務所
  • 装丁:文庫(281ページ)
  • 発売日:2000-09-00
  • ISBN-10:4894567598
  • ISBN-13:978-4894567597
内容紹介:
数百年前に那国文明圏が放った無人恒星間探査船が、後にエキドナ文明と命名される異星文明を発見した。合同調査隊は、産業革命後の文明を持った人類型異星人を発見する。しかも衛星ラミアには… もっと読む
数百年前に那国文明圏が放った無人恒星間探査船が、後にエキドナ文明と命名される異星文明を発見した。合同調査隊は、産業革命後の文明を持った人類型異星人を発見する。しかも衛星ラミアには、彼らの技術水準では不可能な核融合炉、大規模マスドライバーなどの遺跡が存在していたのだ。そんななか、合同調査隊の帝都エクスカーナ代表部は、独自の極秘計画を発動する…。気鋭の作家が贈る新生ハードSFここに開幕。

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侵略者の平和〈第二部〉観察  / 林 譲治
侵略者の平和〈第二部〉観察
  • 著者:林 譲治
  • 出版社:角川春樹事務所
  • 装丁:文庫(286ページ)
  • 発売日:2000-11-00
  • ISBN-10:4894567911
  • ISBN-13:978-4894567917
内容紹介:
不幸なファーストコンタクトから、那国文明圏とエキドナ文明は交戦状態に陥った。千年単位での技術格差によって、那国は圧倒的優勢のまま王都ルゴフを制圧。ここにエキドナ文明ルゴフ王国は陥… もっと読む
不幸なファーストコンタクトから、那国文明圏とエキドナ文明は交戦状態に陥った。千年単位での技術格差によって、那国は圧倒的優勢のまま王都ルゴフを制圧。ここにエキドナ文明ルゴフ王国は陥落した。しかし、コミュニケーション手段として投入した翻訳機が誤訳の嵐で、交渉すら頓挫していた。そのころ筆頭教授マーサは、遺跡から発掘された遺体が、我々人類とほぼ同じ遺伝子パターンを持つことを発見する。大好評シリーズ待望の第二弾。

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侵略者の平和   / 林 譲治
侵略者の平和
  • 著者:林 譲治
  • 出版社:角川春樹事務所
  • 装丁:文庫(290ページ)
  • 発売日:2001-01-00
  • ISBN-10:4894568241
  • ISBN-13:978-4894568242
内容紹介:
シズノ王女のラジオを駆使した、レジスタンス活動の呼び掛けによって、テロが頻発、次第に那國占領軍の継戦能力を奪っていった。一方、翻訳機開発の名目でエキドナ地表に降り立ったマーサ率い… もっと読む
シズノ王女のラジオを駆使した、レジスタンス活動の呼び掛けによって、テロが頻発、次第に那國占領軍の継戦能力を奪っていった。一方、翻訳機開発の名目でエキドナ地表に降り立ったマーサ率いる遺跡調査団は、那國・エキドナ両文明の同一起源説立証のため、地表探査を開始する。そんな中、エキドナ総督沙粧大獄は、ルゴフ王の要望によりシズノ王女率いる抵抗勢力の武力鎮圧を行うべく、戦力を投入した……。シリーズ堂々の完結編!

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都築由浩『レディ・スクウォッター』(電撃文庫)★★★は、宇宙描写が面白いのにキャラ立ちが弱くて話が古臭いので、むしろ三十代以上のおっさんSF読者向け。乙一『失踪HOLIDAY』(角川スニーカー文庫)★★★☆は、巻頭の短篇がジェントル・ゴーストものの佳作。

レディ・スクウォッター  / 都築 由浩
レディ・スクウォッター
  • 著者:都築 由浩
  • 出版社:メディアワークス
  • 装丁:文庫(267ページ)
  • 発売日:2000-12-00
  • ISBN-10:4840216983
  • ISBN-13:978-4840216982
内容紹介:
遙かな未来、宇宙に進出した人類は、古代文明の生物兵器"リッパー"と遭遇した。接触した文明の産物の全てを取り込んで繁殖、進化する"リッパー"は、まさに人間の天敵だっ… もっと読む
遙かな未来、宇宙に進出した人類は、古代文明の生物兵器"リッパー"と遭遇した。接触した文明の産物の全てを取り込んで繁殖、進化する"リッパー"は、まさに人間の天敵だった。難破宇宙船観光ツアーの事前調査に小惑星群を訪れたアルたちは、難破船内で、難破船や廃棄衛星を渡り歩く宇宙生活者"スクウォッター"の少女ディーを発見する。しかしその船は、すでに"リッパー"の巣と化していた!強力な武器もなく、客を満載した観光ツアーの客船が接近する中、アルたちの反攻が始まる!SF×ホラー×アクションノベル登場。

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失踪HOLIDAY  / 乙 一
失踪HOLIDAY
  • 著者:乙 一
  • 出版社:角川書店
  • 装丁:文庫(238ページ)
  • 発売日:2000-12-26
  • ISBN-10:4044253013
  • ISBN-13:978-4044253011
内容紹介:
14歳の冬休み、わたしはいなくなった-。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出!その失踪先は…となりの建物!!こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事… もっと読む
14歳の冬休み、わたしはいなくなった-。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出!その失踪先は…となりの建物!!こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって…!?心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しあわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。

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斉藤直子の日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作『仮想の騎士』(新潮社)★★★☆は、いきなり関西弁で喋り出すカサノヴァを筆頭に、同時代の実在人物たち(サン・ジェルマン伯爵、ルイ十五世、ポンパドゥール夫人、メスメル)が入り乱れるおたく系妄想歴史小説。女装の騎士デオンのロシア潜入スパイ工作(史実)が抱腹絶倒。

恩田陸『MAZE』(双葉社)★★☆は、中に入った人間が消失する奇妙な遺跡の謎に挑むパズル小説。途中の議論は面白いが、もう少し論理を積み上げてくれないと満足できない。

仮想の騎士 / 斉藤 直子
仮想の騎士
  • 著者:斉藤 直子
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(223ページ)
  • 発売日:2000-12-00
  • ISBN-10:4104424013
  • ISBN-13:978-4104424016
内容紹介:
十八世紀、ロココ時代の浮かれたフランス宮廷を舞台に、女装の青年騎士デオンの活躍を描く、あざやかで、きらびやかで、妖しい歴史小説。第12回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

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MAZE 新装版  / 恩田 陸
MAZE 新装版
  • 著者:恩田 陸
  • 出版社:双葉社
  • 装丁:文庫(264ページ)
  • 発売日:2015-04-16
  • ISBN-10:4575517712
  • ISBN-13:978-4575517712
内容紹介:
アジアの西の果て、荒野に立つ直方体の白い建物。一度中に入ると、戻れない人間が数多くいるらしい。その「人間消失のルール」を解明すべくやってきた男たちは、何を知り得たのか?めくるめく幻想と恐怖に包まれる長編ミステリー。人間離れした記憶力を持ち、精悍な面差しで女言葉を繰り出す、魅惑のウイルスハンター・神原恵弥を生み出した、シリーズ第一作!

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