コラム
中村 桂子「2018 この3冊」|新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)、須田桃子『合成生物学の衝撃』(文藝春秋)、横山祐典『地球46億年』(講談社)
2018 この3冊
(1)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子著(東洋経済新報社)
(2)『合成生物学の衝撃』須田桃子著(文藝春秋)
(3)『地球46億年 気候大変動 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来』横山祐典著(講談社ブルーバックス)
科学の眼で地球という星とそこに生れた生きものである人間とを知り、今後の生き方を考えることの重要性を実感し、このテーマを巡る本を選んだ。(1)東大合格という明快な目標を立てAIの能力検証をし、最大の壁は「常識」であることを示す。プロジェクト進行中に学生、生徒の問題読解力に問題ありとわかり、まずこの課題の解決が先とわかったのが興味深い。(2)生物学での人間理解の一つであるゲノム理解に向けて生存に必要な最小ゲノムをもつ最小細胞から始める合成生物学が着実に進んでいる。ゲノム編集技術も加わり、生命観が喫緊の要事となる。(3)最も身近な気候変動を切り口に地球の動きを見る。生物とプレートテクトニクスという地球独自の要素が関わり、数千万年、数万年、数年という単位での動きが重なるダイナミズムに人為が異常をもたらしていないか。気になる。
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