コラム
本村 凌二「2018 この3冊」|佐藤優『十五の夏』(幻冬舎)、ジョナサン・ハリス『ビザンツ帝国』(白水社)、ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』(河出書房新社)
2018 この3冊
(1)『十五の夏 上・下』佐藤優著(幻冬舎)
(2)『ビザンツ帝国 生存戦略の一千年』ジョナサン・ハリス著、井上浩一訳(白水社)
(3)『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来 上・下』ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳(河出書房新社)
(1)十五歳での東欧・ソ連の独り旅をつづった本書には読者をして自分の人生をふりかえらせる力がある。後の卓越した鋭利な分析家の姿が彷彿(ほうふつ)とする。あらためて自分がほんとうに好きなものは何であるかを問い直してみたくなる。まぎれもなく青春紀行文学の傑作である。
(2)ビザンツ帝国はなぜ崩壊したのかよりも、領土が縮小し国力が弱体化しても、「なぜ存続できたのか」が問題だという。そこには、厳しい逆境にあっても他者をなじませ統合する能力があった。訳者の述懐「こんな本を書きたかった」が印象深い。
(3)これまで人類は飢饉(ききん)、疫病、戦争に悩まされてきた。その克服がほぼ実現したからには、プラスを目指し、不死と至福と神性が目標になる。21世紀、生物工学と情報工学が発達すれば、自由主義も資本主義も民主主義も崩壊の危機にさらされるという。
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