書評

『漫画 サピエンス全史 文明の正体編』(河出書房新社)

  • 2024/08/30
漫画 サピエンス全史 文明の正体編 / ユヴァル・ノア・ハラリ,ダヴィッド・ヴァンデルムーレン,ダニエル・カザナヴ
漫画 サピエンス全史 文明の正体編
  • 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ,ダヴィッド・ヴァンデルムーレン,ダニエル・カザナヴ
  • 翻訳:梶山あゆみ
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(256ページ)
  • 発売日:2021-11-06
  • ISBN-10:4309293026
  • ISBN-13:978-4309293028
内容紹介:
~人間(サピエンス)の運命を決めた1万2000年前の分かれ道!~どうすれば格差や差別を解消できるか?社会問題の原因を知りたい方におすすめの巻!何種ものヒトのなかで唯一生き延びたホ… もっと読む
~人間(サピエンス)の運命を決めた1万2000年前の分かれ道!~
どうすれば格差や差別を解消できるか?
社会問題の原因を知りたい方におすすめの巻!


何種ものヒトのなかで唯一生き延びたホモ・サピエンス。
世界各地に進出し、狩猟採集民から農耕民へとなった彼らを待ち受けていたものとは?――

そして、古代メソポタミアからアメリカ合衆国まで、サピエンスが大規模な社会、国家、文明を築きあげることを可能にしたものとは?
この世界がどのように形づくられていったかという謎に、さまざまな角度から光を当てて、明らかにする。

世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリが、第一線で活躍する作家とコラボレーションをした公式漫画化プロジェクト、待望の続編。
多彩なキャラクターによる壮大な歴史の旅はさらなる展開へ!


【目次】
歴史年表
誰(た)がために麦はなる
神話と人間
迷宮の中へ
虚構博士(ドクター・フィクション)の恐怖の犯罪
イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』は全世界で2100万部も売れているそうだ。柴田裕之訳の日本版(河出書房新社)も100万部突破の大ベストセラー。

われらホモ・サピエンスがなぜ地上を制覇・支配するようになったのか、諸学問の現時点での成果から説明を試みる一般向け教養書である。歴史を人類の起源から現代まで大づかみする視点が魅力的だ。気候変動の影響が深刻化するなど混迷をきわめる今、スケールの大きな思考が求められているのだと思う。

とはいえ上下巻合わせて約600ページ。専門書と違って平易に書かれているけど、読破するのは一苦労。恥ずかしながらぼくも、途中で挫折して積ん読状態だった。

そこに救世主あらわる。昨年『漫画 サピエンス全史 人類の誕生編』(河出書房新社・2090円)が出たのに次いで、最近『同 文明の正体編』(同・2640円)が出た。原案と脚本はユヴァル・ノア・ハラリ自身で、脚本はダヴィッド・ヴァンデルムーレン、漫画はダニエル・カザナヴ。翻訳は前者が安原和見、後者が梶山あゆみ。

この漫画版が素晴らしい。まず、大きい! 絵がきれい! そして、楽しく、分かりやすい。眠くならない。面白くてためになる。

漫画版とあるけれども、たんに文章を漫画に置き換えたものではない。ハラリと姪のゾーイ、生物学者のサラスワティ先生をはじめ、さまざまなキャラクターが登場する。ときには推理小説のように、あるいはヒーローものコミックのように、場面はめまぐるしく展開する。読者を飽きさせない工夫がいっぱい。

漫画版を読み終えて、ふたたび文章版の『サピエンス全史』を読んだ。あーら不思議、こんどは書いてあることが頭にするする入ってくる!

ホモ・サピエンスは「虚構」を手に入れたため、大きな力を得ることになった、とハラリはいう。会社も国家もジェンダーも虚構。みんなが信じるのをやめれば、虚構は雲散霧消する。
漫画 サピエンス全史 文明の正体編 / ユヴァル・ノア・ハラリ,ダヴィッド・ヴァンデルムーレン,ダニエル・カザナヴ
漫画 サピエンス全史 文明の正体編
  • 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ,ダヴィッド・ヴァンデルムーレン,ダニエル・カザナヴ
  • 翻訳:梶山あゆみ
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(256ページ)
  • 発売日:2021-11-06
  • ISBN-10:4309293026
  • ISBN-13:978-4309293028
内容紹介:
~人間(サピエンス)の運命を決めた1万2000年前の分かれ道!~どうすれば格差や差別を解消できるか?社会問題の原因を知りたい方におすすめの巻!何種ものヒトのなかで唯一生き延びたホ… もっと読む
~人間(サピエンス)の運命を決めた1万2000年前の分かれ道!~
どうすれば格差や差別を解消できるか?
社会問題の原因を知りたい方におすすめの巻!


何種ものヒトのなかで唯一生き延びたホモ・サピエンス。
世界各地に進出し、狩猟採集民から農耕民へとなった彼らを待ち受けていたものとは?――

そして、古代メソポタミアからアメリカ合衆国まで、サピエンスが大規模な社会、国家、文明を築きあげることを可能にしたものとは?
この世界がどのように形づくられていったかという謎に、さまざまな角度から光を当てて、明らかにする。

世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリが、第一線で活躍する作家とコラボレーションをした公式漫画化プロジェクト、待望の続編。
多彩なキャラクターによる壮大な歴史の旅はさらなる展開へ!


【目次】
歴史年表
誰(た)がために麦はなる
神話と人間
迷宮の中へ
虚構博士(ドクター・フィクション)の恐怖の犯罪

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2021年12月4日

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