書評

『「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ』(集英社)

  • 2026/02/13
「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ / 大塚 英志
「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ
  • 著者:大塚 英志
  • 出版社:集英社
  • 装丁:新書(480ページ)
  • 発売日:2025-09-17
  • ISBN-10:4087213781
  • ISBN-13:978-4087213782
内容紹介:
国内外に喧伝される「日本らしさ」はどのように生まれたのか。その起源は、ロシアの映画監督・エイゼンシュテインが編み出した「モンタージュ理論」にあった。「モンタージュ」の語は映画のみ… もっと読む
国内外に喧伝される「日本らしさ」はどのように生まれたのか。その起源は、ロシアの映画監督・エイゼンシュテインが編み出した「モンタージュ理論」にあった。「モンタージュ」の語は映画のみならず、写真、広告、雑誌、まんがによって戦時下の日本で流行しプロパガンダのツールとして作り手と受け手に浸透した。戦時下のメディア理論と文化工作を研究するまんが原作者・批評家が、芸術理論がさまざまな文化と融合し、ファシズム的な表現に変容していくさまを分析。「創られた日本文化論」の正体を明らかにする。

目次
まえがき
第一章 モンタージュ化する「日本」
1 パリ万博とモンタージュしかない「日本」
2 寺田寅彦と昭和初頭のモンタージュ論ブーム
3 紙芝居とシネ・ポエム
4 絵巻物モンタージュ説の誕生
第二章 モンタージュとしての報道
1 報道写真と国策の実装
2 アマチュアとデータベース
3 今泉武治と原弘――プロパガンダ技術としてのレイアウト
4 報道技術研究会と「心」のモンタージュ
第三章 柳田國男と戦時下のモンタージュ
1 重ね撮り写真からモンタージュへ
2 三木茂ともう一つの「ルーペ論争」
終章 手塚治虫と占領下・戦後のモンタージュ
あとがき
ひとつの言葉が一世を風靡(ふうび)して、さまざまな事象がその言葉に結びつけて語られるようになる。1930年代から戦時中にかけて流行したのは「モンタージュ」だった。

ことの始まりはソ連の映画監督、エイゼンシュテイン。日本文化はモンタージュだと彼が言うと、それに飛びつく人びとがいた。モンタージュというのは映画の用語で、異なる視点のカットとカットをつなぐと新たな意味が生まれるというもの。

エイゼンシュテインはべつに「だから日本文化はスゴイ!」と言ったわけじゃない。日本文化だけがモンタージュだと言ったわけでもない。だけど世界的映画監督からお墨付きを与えられた気分になったからか、以降、いろんなところでモンタージュが使われるようになる。日本文化を海外に宣伝しようというとき、あるいは国民の戦意を高揚させようというとき。なるほど、ひと昔前にも「クールジャパン」なんていささか恥ずかしい官製ブームがあったけれども、ルーツはここにあったのか。

新書としては破格の厚さの全474ページ。同著者による『大東亜共栄圏のクールジャパン』と併せて読みたい。
「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ / 大塚 英志
「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ
  • 著者:大塚 英志
  • 出版社:集英社
  • 装丁:新書(480ページ)
  • 発売日:2025-09-17
  • ISBN-10:4087213781
  • ISBN-13:978-4087213782
内容紹介:
国内外に喧伝される「日本らしさ」はどのように生まれたのか。その起源は、ロシアの映画監督・エイゼンシュテインが編み出した「モンタージュ理論」にあった。「モンタージュ」の語は映画のみ… もっと読む
国内外に喧伝される「日本らしさ」はどのように生まれたのか。その起源は、ロシアの映画監督・エイゼンシュテインが編み出した「モンタージュ理論」にあった。「モンタージュ」の語は映画のみならず、写真、広告、雑誌、まんがによって戦時下の日本で流行しプロパガンダのツールとして作り手と受け手に浸透した。戦時下のメディア理論と文化工作を研究するまんが原作者・批評家が、芸術理論がさまざまな文化と融合し、ファシズム的な表現に変容していくさまを分析。「創られた日本文化論」の正体を明らかにする。

目次
まえがき
第一章 モンタージュ化する「日本」
1 パリ万博とモンタージュしかない「日本」
2 寺田寅彦と昭和初頭のモンタージュ論ブーム
3 紙芝居とシネ・ポエム
4 絵巻物モンタージュ説の誕生
第二章 モンタージュとしての報道
1 報道写真と国策の実装
2 アマチュアとデータベース
3 今泉武治と原弘――プロパガンダ技術としてのレイアウト
4 報道技術研究会と「心」のモンタージュ
第三章 柳田國男と戦時下のモンタージュ
1 重ね撮り写真からモンタージュへ
2 三木茂ともう一つの「ルーペ論争」
終章 手塚治虫と占領下・戦後のモンタージュ
あとがき

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2026年2月7日

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