- 著者:安生正
- 出版社:祥伝社
- 装丁:単行本(323ページ)
- 発売日:2019-03-12
- ISBN-10:4396635621
- ISBN-13:978-4396635626
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ときは真夏、関東の雷と竜巻が変電所を襲い、豪雨は荒川を決壊させる寸前。大規模停電が起き、鉄道はマヒ、帰宅困難者が街にあふれ出し、都心はパニックに!
安生正『東京クライシス』は、未曽有の災害に見舞われた東京の混乱を、きわめてリアルに描いた。グズな政府の対応が危機管理能力のなさを暴露……という展開は、小説であることを忘れる。そんな中で孤軍奮闘するのが内閣府企画官・文月祐美(ふづきゆみ)。災害対応の専門家として、毅然と国難を乗りこえる。
国民に目を向けず、「政治そのものが目的になっている」内閣に対し、現場で自ら判断し対処する人たちがいる。クビを覚悟で行動するのは仕事への誇りがあるから。無責任の連鎖の前で、文月と彼らが持ち場を死守する姿は感動的だ。
東日本大震災で活躍した元内閣府の役人が、助っ人で呼び寄せられる。彼は文月に「最後まで逃げない勇気」を求めるのだ。災害と官邸を相手に闘い続けるヒロインに、最後の1ページまで目が離せない。