書評

『カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活』(平凡社)

  • 2021/10/08
カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活 / 増谷 和子
カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活
  • 著者:増谷 和子
  • 出版社:平凡社
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2013-03-04
  • ISBN-10:4582231233
  • ISBN-13:978-4582231236
内容紹介:
弓ヶ浜、植田家の食卓、夏まつり、母のこと、終戦の日、風船ガム、とんどさん、犬たち、ファッション道楽、リハビリetc.-愛娘カコちゃんが、父・植田正治の日々の暮らし、撮影の秘密をはじめて明かす。1930‐50年代撮影の未発表写真21点+代表作26点を収録。

生きることは楽しい、信頼の根

生涯、鳥取県・境港で家族や地元の人をモデルに撮りつづけた植田正治の思い出を、残された作品の別バージョンや家族の撮った写真などを添えて、長女・和子が語り下ろす。ファンにはたまらない一冊だ。撮影現場の様子、仕事のスイッチが入る瞬間、撮影後の遊びなどとともに、家族や仲間が集っていることを何より大事にした植田の姿がいきいきと描かれる。褒められると写真をあげてしまい、ネガの管理も不得意だった植田、その手伝いを表から裏から引き受ける家族。ローカルな場所での写真一色の家族生活、これがなぜ国際的な評価を浴びてきたのか考えるのは、読者へのうれしい宿題だ。

おやつ、遊び、手伝い、総勢13名のかわりばんこの食事……。ひとの信頼の根は、生きることは楽しいという感覚にあることを痛いほど教えられる。信頼があるからリハビリや看取(みと)りにおいても、きつくも軽くもものが言える。「可哀(かわい)そうなものは撮れない」という植田の言葉を思い出した。
カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活 / 増谷 和子
カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活
  • 著者:増谷 和子
  • 出版社:平凡社
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2013-03-04
  • ISBN-10:4582231233
  • ISBN-13:978-4582231236
内容紹介:
弓ヶ浜、植田家の食卓、夏まつり、母のこと、終戦の日、風船ガム、とんどさん、犬たち、ファッション道楽、リハビリetc.-愛娘カコちゃんが、父・植田正治の日々の暮らし、撮影の秘密をはじめて明かす。1930‐50年代撮影の未発表写真21点+代表作26点を収録。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2013年4月14日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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