書評

『主婦と演芸』(幻冬舎)

  • 2023/10/17
主婦と演芸 / 清水 ミチコ
主婦と演芸
  • 著者:清水 ミチコ
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:文庫(283ページ)
  • 発売日:2016-02-09
  • ISBN-10:4344424336
  • ISBN-13:978-4344424333
内容紹介:
シャンプー時に立つか、座るか。何度会っても「初めまして!」と言う氷川きよし君。面白タクシードライバーさんに10円の恩返し。5000円札を喜ぶ黒柳徹子さん。マルベル堂でプロマイド撮影。「孤独死」報道に一言。矢野顕子さんと一緒にツアー。「重箱のスミ」でキラリと光るものを独自の目線でキャッチした、愉快で軽快な日記エッセイ。

鋭い観察眼、心地良いコトバ

文章を書くのが好きという清水さん。コトバの上下動が心地いい。まるで空中ブランコの下に張られた大きなネットをゆらゆらと歩いているみたい。主役を張らない“モノマネ芸人”、そして二十数年やってきた主婦としての眼(め)は、さわやかで、確かで、鋭い。

モノマネが仕事だから人を観察する眼は並でない。芸能人の楽屋裏やオフの話が多いが、私生活公開といった空気はつゆなく、仲間のヒトとしてのおかしさ、不思議さを、さりげなく描き、えらそぶらずにちくりと刺す。コトバは柔らかいが相当な辛口、でもイヤミがなく、言われてうれしいというような批評は、そうそうあるものじゃない。

贅沢三昧(ぜいたくざんまい)の旅行を楽しむ芸能人への感想――「生きる知恵ってなものを全然使わないから、ただただ快適なだけで、笑いあえるユーモアがぜんぜん生まれなくなります」。

“便利”や“快適”をひたすら追い求めてきた果ての社会のつまんなさを、思い知らされました。
主婦と演芸 / 清水 ミチコ
主婦と演芸
  • 著者:清水 ミチコ
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:文庫(283ページ)
  • 発売日:2016-02-09
  • ISBN-10:4344424336
  • ISBN-13:978-4344424333
内容紹介:
シャンプー時に立つか、座るか。何度会っても「初めまして!」と言う氷川きよし君。面白タクシードライバーさんに10円の恩返し。5000円札を喜ぶ黒柳徹子さん。マルベル堂でプロマイド撮影。「孤独死」報道に一言。矢野顕子さんと一緒にツアー。「重箱のスミ」でキラリと光るものを独自の目線でキャッチした、愉快で軽快な日記エッセイ。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2013年6月23日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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