前書き
『72歳、今日が人生最高の日』(集英社)
イーロン・マスク(スペースX CEO) の母メイ・マスクは、72歳にして、大手ブランドのアンバサダーを務めるトップモデルで栄養士の資格も持つ。恵まれた人生のように思えるが、31歳で夫のDVに耐えかねて離婚した後、60歳まで、モデルとしてチラシやカタログの地味な仕事をこなして子どもとの生活費を稼ぎ、よりよい暮らしを求めて3か国9都市に引越ししたという苦労続きの日々を送ってきた。60歳を過ぎてトップモデルになったきっかけは? イーロン・マスクを始めとする3人の子どもたちが各々の世界で才能を開花させた子育ての秘訣は? 「今が最高に楽しい」と言い切る著者のさわやかな人生論。
人生は大胆かつ慎重に―― 計画を立てて飛び込んでみる
わたしは、探検するのが大好きな家庭で育った。わが家には自家用飛行機まであった。両親は、キャンバス地で覆われた、GPSも無線機もついていない小さなプロペラ機で、カナダ、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアを飛び回っていた。子どものころは両親に連れられて、「失われた都市」を探すためにカラハリ砂漠に向かうのが冬の恒例行事になっていた。方位磁針と3週間分の水と食糧を持って、5人の子どもを連れて砂漠を横断するのは危険な旅だったと思う。それでも両親は、細かな点まで抜かりなく旅行の計画を立てていた。わが家のモットーは〝人生は大胆かつ慎重に"。冒険好きで、いつも予想外のできごとに備えておく父を見てきたので、わたしも好奇心旺盛で、探検するのが大好き。
子どものころから聞かされてきたアフリカのことわざがある―「農民は計画を立てる」。南アフリカでは年じゅう、このことわざを耳にする。ささいな問題にしても、大きな問題にしても、柔軟に問題を解決しなければならないときに使われる。そしてそれは、目の前にどんな障害があっても、その問題に取り組み、解決するために別の道を見つけなければならないということ。
最初のうちは、この本のタイトルを『生き残るために闘って』にしようと考えていた。でもそれは、すべての人に魅力的だとは思えなかった。わたしは、本を読んだ人に、わたしのように苦労の多い人生を送ってもらいたくなかった。というのも、わたしの人生では、物事がしょっちゅう悪い方向に進み、そのたびに作戦を練り直すことになったからだ。
わたしは何度も人生をやり直し、大人になってからは3つの国と9つの都市で暮らした。何度もやり直すことなんて人にけっして勧められないけれど、それでもそうしなければならなくなったら、まずは計画を立ててみてほしい。そうすれば、わくわくする楽しい人生が送れる。わたしも最初は苦労したけれど、あきらめずに挑戦しつづけたおかげで、私生活でもビジネスでも成功できた。人生を変えるときに、細かいところまで計画を立てる必要はない。問題が起こったら、そのたびに解決していけばいい。
人生の曲がり角には、驚くようなことが待っている。自分や、家族や、友人について心配したり、途方もなく魅力的なものを見て感動したり、仕事で成功したり、波乱の毎日を送ったり……。考えなければならないことが一度にたくさん出てくるけれど、まずは一歩を踏み出し、そのあと次の一歩を踏み出せば、前に進んでいける。
予想外の状況に陥ったときには、ロマンス小説や自己啓発本を読みあさり、本に希望をもらった。だから、わたしの経験を知って、あなたが希望を抱いてくれたらうれしい。
わたしはいま、72歳になった自分をすばらしいと思っている。72年生きてきて、ふたつの仕事で成功し、3人の子どもを育て、11人の孫がいる。そして現在、食生活カウンセラーとしてあちこちで講演をし、モデルとしてもかつてないほどの人気を得ている。この本の執筆まで依頼された。だから、72歳は最高! いまも毎朝、目覚めたとたんにわくわくしている。
何にでも一生懸命取り組み、計画を立てて、思い切ってやってみれば、火星にだって行けるかもしれない。
人生は大胆かつ慎重に―― 計画を立てて飛び込んでみる
LIVE DANGEROUSLY -CAREFULLY : Make a plan, and take a chance
わたしは、探検するのが大好きな家庭で育った。わが家には自家用飛行機まであった。両親は、キャンバス地で覆われた、GPSも無線機もついていない小さなプロペラ機で、カナダ、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアを飛び回っていた。子どものころは両親に連れられて、「失われた都市」を探すためにカラハリ砂漠に向かうのが冬の恒例行事になっていた。方位磁針と3週間分の水と食糧を持って、5人の子どもを連れて砂漠を横断するのは危険な旅だったと思う。それでも両親は、細かな点まで抜かりなく旅行の計画を立てていた。わが家のモットーは〝人生は大胆かつ慎重に"。冒険好きで、いつも予想外のできごとに備えておく父を見てきたので、わたしも好奇心旺盛で、探検するのが大好き。子どものころから聞かされてきたアフリカのことわざがある―「農民は計画を立てる」。南アフリカでは年じゅう、このことわざを耳にする。ささいな問題にしても、大きな問題にしても、柔軟に問題を解決しなければならないときに使われる。そしてそれは、目の前にどんな障害があっても、その問題に取り組み、解決するために別の道を見つけなければならないということ。
最初のうちは、この本のタイトルを『生き残るために闘って』にしようと考えていた。でもそれは、すべての人に魅力的だとは思えなかった。わたしは、本を読んだ人に、わたしのように苦労の多い人生を送ってもらいたくなかった。というのも、わたしの人生では、物事がしょっちゅう悪い方向に進み、そのたびに作戦を練り直すことになったからだ。
わたしは何度も人生をやり直し、大人になってからは3つの国と9つの都市で暮らした。何度もやり直すことなんて人にけっして勧められないけれど、それでもそうしなければならなくなったら、まずは計画を立ててみてほしい。そうすれば、わくわくする楽しい人生が送れる。わたしも最初は苦労したけれど、あきらめずに挑戦しつづけたおかげで、私生活でもビジネスでも成功できた。人生を変えるときに、細かいところまで計画を立てる必要はない。問題が起こったら、そのたびに解決していけばいい。
人生の曲がり角には、驚くようなことが待っている。自分や、家族や、友人について心配したり、途方もなく魅力的なものを見て感動したり、仕事で成功したり、波乱の毎日を送ったり……。考えなければならないことが一度にたくさん出てくるけれど、まずは一歩を踏み出し、そのあと次の一歩を踏み出せば、前に進んでいける。
予想外の状況に陥ったときには、ロマンス小説や自己啓発本を読みあさり、本に希望をもらった。だから、わたしの経験を知って、あなたが希望を抱いてくれたらうれしい。
わたしはいま、72歳になった自分をすばらしいと思っている。72年生きてきて、ふたつの仕事で成功し、3人の子どもを育て、11人の孫がいる。そして現在、食生活カウンセラーとしてあちこちで講演をし、モデルとしてもかつてないほどの人気を得ている。この本の執筆まで依頼された。だから、72歳は最高! いまも毎朝、目覚めたとたんにわくわくしている。
何にでも一生懸命取り組み、計画を立てて、思い切ってやってみれば、火星にだって行けるかもしれない。