書評

『『ジョジョの奇妙な冒険』で英語をたっぷり学ぶッ!』(集英社)

  • 2024/01/05
『ジョジョの奇妙な冒険』で英語をたっぷり学ぶッ! /
『ジョジョの奇妙な冒険』で英語をたっぷり学ぶッ!
  • 翻訳:北浦 尚彦
  • 監修:マーティ・フリードマン 原作:荒木飛呂彦 文・翻訳:北浦尚彦
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(128ページ)
  • 発売日:2023-11-24
  • ISBN-10:4087817377
  • ISBN-13:978-4087817379
内容紹介:
人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』を楽しみながら英語が頭に入る、ファン必携の画期的英語学習書第3弾。シリーズ累計8万部超!
「デ・パルマの大ファンです」。以前、「週刊少年ジャンプ」の作者コメント欄で荒木飛呂彦氏が記していた言葉だ。デ・パルマとは、米国ホラー映画界でカリスマ的な存在だった映像作家だ。荒木氏はクリント・イーストウッドの大ファンであることも公言している。イーストウッドが演じたタフガイの面影がジョジョ・サーガに色濃く感じられるのは、自明の理である。

1987年連載スタートの『ジョジョの奇妙な冒険』は多くのジョジョラーを生み出し、今もなお絶大な人気を誇る。〝アメリカ映画に影響を受けた荒木氏の作品で英語を学ぶ〟という、本書で第3弾となるシリーズ本の主旨は、読者はもちろん原作者にとっても理想的なコラボだろう。しかも世界的ロックギタリスト、マーティ・フリードマン氏が引き続き監修を担当。今回も英語学習本特有の堅苦しさなど微塵もない。

インバウンドが伸び、日本全国どこでも外国人と接する機会が増えた現代。私事で恐縮だが、ある米国人と知り合った際、イーストウッドの代表作「ダーティハリー」の劇中の決めゼリフを口にした途端、一気に場が和んだ。そう、たとえ英語が苦手でも、〝おもてなし〟文化の国民としてスラング英語のフレーズの一つや二つは憶えておくことのメリットとは、そこだ。

「やれやれだぜ」は承太郎をはじめ、ジョジョの主人公が口にするセリフだが、本書では〝Oh Well〟と表現されている。第2弾では〝Give me a break〟と訳されていたのが、シーンに応じ言い換えられていて面白い。ちなみに声優界のレジェンド故・山田康雄は「ダーティハリー3」の吹き替えで、〝marvelous〟を「やれやれ」とアドリブを利かせニヒルに演じていた。荒木氏もおそらく、この吹き替え版を見ていることだろう。

英語を学ぶとなると私も含めて身構える傾向があるが、本書では魅力的な絵と相まって楽しみながら学べるッ。いや、英語で遊べるッ――そんな一冊だ。

[書き手]太田由紀(映画ライター)

[初出媒体]「青春と読書」2024年1月号(2023年12月20日発売)
『ジョジョの奇妙な冒険』で英語をたっぷり学ぶッ! /
『ジョジョの奇妙な冒険』で英語をたっぷり学ぶッ!
  • 翻訳:北浦 尚彦
  • 監修:マーティ・フリードマン 原作:荒木飛呂彦 文・翻訳:北浦尚彦
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(128ページ)
  • 発売日:2023-11-24
  • ISBN-10:4087817377
  • ISBN-13:978-4087817379
内容紹介:
人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』を楽しみながら英語が頭に入る、ファン必携の画期的英語学習書第3弾。シリーズ累計8万部超!

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

青春と読書

青春と読書 2023年12月20日

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
集英社 学芸編集部の書評/解説/選評
ページトップへ