書評

『貧困待ったなし!――とっちらかりの10年間』(岩波書店)

  • 2023/01/10
貧困待ったなし!――とっちらかりの10年間 / 自立生活サポートセンター・もやい
貧困待ったなし!――とっちらかりの10年間
  • 著者:自立生活サポートセンター・もやい
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(200ページ)
  • 発売日:2012-03-16
  • ISBN-10:4000245155
  • ISBN-13:978-4000245159
内容紹介:
「お金がない」「住まいがない」「頼れる人がいない」…貧困の現実を前に、どう動いたか。常に問題の最前線に立ち続け、保証人提供以外に、生活困窮者の方々への相談支援や、生活保護申請への同… もっと読む
「お金がない」「住まいがない」「頼れる人がいない」…貧困の現実を前に、どう動いたか。常に問題の最前線に立ち続け、保証人提供以外に、生活困窮者の方々への相談支援や、生活保護申請への同行支援、居場所作りなどを行ってきた"もやい"。年越し派遣村以後、相談窓口に生活困窮者の方々が殺到、野戦病院化した"もやい"は運営の危機を迎える。その危機は、どうやって乗り越えられたのか。スタッフたちが語る、等身大のストーリー。

親密な場所と組織化の矛盾

この社会の貧困の問題に最底辺のところで対応してきた支援グループの、あまりに率直な、そして考えぬかれた地声の中間総括である。

所持金・平均500円で、何もかもが立ちゆかなくなった人びと。その人たちのための定例相談会と、ホームレスの人にとって最難関の問題であるアパート入居時の連帯保証から始めた活動は、やがてネットカフェ難民、虐待から逃げてきた人など相談者も激増して「野戦病院化」するとともに、個人の自由な集まりから組織への移行・拡大を避けられなくなる。その間にスタッフが経験したディレンマはとてつもなく重い。

だれでも入ってゆける小さくて緩くて親密な場所は、濃すぎれば煮詰まる。が、組織化すれば、問題の核にある「人間関係の貧困」への対応がいやでも疎(おろそ)かになる。反貧困は一つのネットワークで担いきれるものではない。この先にある「独りにならずに1人で暮らせる」社会という課題に無縁でいられる人はいない。
貧困待ったなし!――とっちらかりの10年間 / 自立生活サポートセンター・もやい
貧困待ったなし!――とっちらかりの10年間
  • 著者:自立生活サポートセンター・もやい
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(200ページ)
  • 発売日:2012-03-16
  • ISBN-10:4000245155
  • ISBN-13:978-4000245159
内容紹介:
「お金がない」「住まいがない」「頼れる人がいない」…貧困の現実を前に、どう動いたか。常に問題の最前線に立ち続け、保証人提供以外に、生活困窮者の方々への相談支援や、生活保護申請への同… もっと読む
「お金がない」「住まいがない」「頼れる人がいない」…貧困の現実を前に、どう動いたか。常に問題の最前線に立ち続け、保証人提供以外に、生活困窮者の方々への相談支援や、生活保護申請への同行支援、居場所作りなどを行ってきた"もやい"。年越し派遣村以後、相談窓口に生活困窮者の方々が殺到、野戦病院化した"もやい"は運営の危機を迎える。その危機は、どうやって乗り越えられたのか。スタッフたちが語る、等身大のストーリー。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2012年5月6日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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