謎にみちた「一人の男」の心の裡衝撃的な問いかけのタイトルだ。ブッダは本当に子を捨てたのか? ブッダは二度自分の子供を捨てたと、著者は考える…
山口県立防府高等学校、東京女子大学短期大学部教育学科卒業後、出版社勤務を経て、1980年「その細き道」を「文學界」に発表、創作活動を始める。
1984年『光抱く友よ』で芥川賞、1994年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、1995年『水脈』で女流文学賞、1999年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『トモスイ』で川端康成文学賞を受賞。「透光の樹」は、2004年映画化もされている。他、多数執筆。
2001年より芥川賞選考委員ほか、多くの文学賞の選考委員を務める。
2005年より2010年まで九州大学特任教授としてアジアとの文学交流プロジェクトSIAを行う。
2009年、紫綬褒章受勲。
2017年、日本芸術院賞、旭日小綬章受章。
近刊は『オライオン飛行』(講談社)。
最新刊は『白磁海岸』(講談社) 。
【文学の特徴】
人間と社会、人間と自然、男と女の関係を、情感豊かに、細やかに表出する。
異文化、異質な人間同士の摩擦や融合の中に、人間の美質や本質が顕れると信じる。男性作家が論理や頭脳に依拠するのに対し、高樹は女性の五感を用いて人間や社会へアプローチし、物語化する。
〈プロフィール写真撮影:森清〉
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