高樹 のぶ子NOBUKO TAKAGI
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1946年、山口県防府市生まれ。山口県立防府高等学校、東京女子大学短期大学部教育学科卒業後、出版社勤務を経て、1980年「その細き道」を「文學界」に発表、創作活動を始める。1984年『光抱く友よ』で芥川賞、1994年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、1995年『水脈』で女流文学賞、1999年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『H…もっと読む
謎にみちた「一人の男」の心の裡衝撃的な問いかけのタイトルだ。ブッダは本当に子を捨てたのか? ブッダは二度自分の子供を捨てたと、著者は考える…
過去語りの文章が奏でる良質な詩情須賀敦子の文章を読むと心が静まるという人は多い。本を開くとイタリアのちょっと昔の村や街から、世界中どこを探…
夢の鈴をチリリと鳴らす身近な神さま川端康成の『掌の小説』に似た長さの、非リアリズム小説が三十篇。どれもやわやわとして明るい。ありえないこと…
目的創出を迫られる中年女性の危機著者はキャリアウーマンとして働き、家庭では母として子供を育て、充実した日々を送ってきた、はずだった。ところ…
史料を残した生身の人間への想像力著者は平安貴族の制度や政治構造の研究に生涯を費やし、後の歴史家の信用も極めて篤(あつ)い学者。宮内庁の書陵…
「古池に飛び込む蛙」は虚構だった芭蕉の実人生を、厖大な資料で読み解いた力作である。省略がきいていて歯切れがいい。思えば中学三年の夏休みに、…
文学の力技と職人芸、そして効能ありああ温泉に行きたい。最後の頁を閉じてカレンダーの空き日を探した。本能が刺激されていた。記憶の中から、温泉…
「情」を動かす、恋の哀れみ、切なさ西鶴の好色物を吉行淳之介と丹羽文雄が現代語に訳しているというだけで、相乗的に色香が濃くなる。本著には、「…
作意が生む高踏的苦笑の快楽本気になればなるほど臆病風が吹き、何も言い出せず行動も起こせず、さほど好きではない異性には堂々と振る舞える、これ…
身構え、自問しつづけた70年の歴史70年近く続いた女流文学者会が、会長の津島佑子さんの英断で幕を閉じた(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2…
小さな命が大きな命を救う瞬間小鳥を除いて、ペットを飼ったことがない。家を空けることが多く、十分な世話が出来ないからだと思っていたが、トラと…
壁崩壊がもたらした鈍痛とエネルギー広場に集まる人間や道ですれ違う男たち。身なりや顔つきは何一つ特別の印象は残さないけれど、通り過ぎてきた時…
狂気と日常、論理と感性の架け橋小説で恋愛を描くとき、自分に言い聞かせているのは「考えるな、感じろ」ということ。けれど考えることが嫌なのでは…
ゆるく拡散するかなしみの中の再生突然、父親が他の女性と心中してしまった。どうやら女性が仕掛けた無理心中らしい。残された妻と娘は、怒りや悲し…
「宿命的な放浪者」の不安と快楽を辿る旅林芙美子という作家は、森光子演じる「放浪記」がヒットしたおかげで、子供時代の貧しい行商生活から流行作…
ささやかだが忘れがたい今生の物語五十三歳のインテリアコーディネーターの女性は、少女のころ、公園のブランコで足を傷つけてしまい動けない鉄工所…
西洋美術を読み進めて見つかるもの面白くて役に立つ一冊である。久々に蘊蓄(うんちく)の素を、多量にしかも安価に仕込んだ気分だ。もちろんこれは…
人間社会の本質をさらした独裁の寓話国民が一度に一人しか入れない「内ホーナー国」とそれを取り囲む広大な「外ホーナー国」の対立と抗争の寓話(ぐ…
異端で在り続けるための苦闘評者は中原昌也作品の良き読者ではない。三島由紀夫賞を受賞したとき猛反対した。書かれてある中身が理解出来ないわけで…
白磁の真実本作品は、「青春」の決して甘くない記憶と、「死んだ愛息を追慕」する母親の執念と、そしてタイトルにある「白磁」がテーマになっている…