『甘粕大尉』(筑摩書房)

尾崎 秀樹
現代史のナゾを洗い出す甘粕正彦は、関東大震災の直後におこった大杉栄虐殺事件の犯人として知られているが、むしろ彼のはたした歴史的な役割は、偽…
書評
1966年『大衆文学論』で芸術選奨、1990年『大衆文学の歴史』で吉川英治文学賞を受賞。1994年、紫綬褒章を受章。1993年~1997年日本ペンクラブ会長。日本文芸家協会理事。大衆文学研究会を主宰。1999年9月21日死去。
著書に『生きているユダ』『ゾルゲ事件』『魯迅との対話』『旧植民地文学の研究』『さしえの五十年』など多数。
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