
1970年、大分県生まれ。小説家、仏語文学研究者。「水に埋もれる墓」で朝日新人文学賞、『にぎやかな湾に背負われた船』で三島由紀夫賞、『九年前の祈り』で芥川龍之介賞受賞。訳書にV・S・ナイポール『ミゲル・ストリート』(小沢自然との共訳)、ポール・ニザン「アデン、アラビア」ほか。〈プロフィール写真 (c)講談社(撮影・森清)>
- 著作:
小野 正嗣の書評/解説/選評
- 『沈むフランシス』(新潮社)小野 正嗣
美しい文体から届く不穏な雑音タイトルが謎めいている。沈むフランシス?だが冒頭、視界に飛びこんでくるのは、水の流れに運ばれていく人間の体だ。…
書評 - 『国境 完全版』(河出書房新社)小野 正嗣
いかなる線からも自由な視線で読めば、作品ひいては世界への向き合い方に靴に砂でも入ったみたいな違和が生じ、各自に足下を見直させる。卓越した文…
書評 - 『穴』(新潮社)小野 正嗣
獣を追いかけて落ちた先には文学を読むとは、作家が想像力で掘った〈穴〉にはまることなのだろう。『不思議の国のアリス』が落ちた深い穴、カフカの…
書評 - 『ヴィクラム・ラルの狭間の世界』(岩波書店)小野 正嗣
いびつな社会生きる「よそ者」最初は戸惑うかもしれない。主人公はヴィクラム・ラルという、国家的な汚職事件に関わって逃亡中のインド系の男。そし…
書評 - 『英子の森』(河出書房新社)小野 正嗣
〈わたし〉は空虚な器なのか〈大人になる〉とは、自分の前に広がる無数の可能性のほとんどを諦めることだ。だが、商品であれサービスであれ情報であ…
書評 - 『我々の恋愛』(講談社)小野 正嗣
いとうせいこうの世界性アメリカ現代文学の翻訳者として活躍のめざましい藤井光が最近(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2016年4月)刊行した…
書評