コラム
張競「2017この3冊」毎日新聞|『中原中也』佐々木幹郎『小説の仕組み』菅原克也『中国政治からみた日中関係』国分良成
2017 この3冊
〈1〉『中原中也』佐々木幹郎(岩波書店・972円)
〈2〉『小説の仕組み』菅原克也著(東京大学出版会・3888円)
〈3〉『中国政治からみた日中関係』国分良成著(岩波書店・2592円)
〈1〉中原中也研究の第一人者で、詩人の佐々木幹郎は、ここ三十年近くのあいだに発見された資料をもとに新たな詩人像の構築を試みた。草稿、初出、詩集や校正などの段階における表現の変化を検証することで、一篇の詩が成立するまでどのように揺らぎ続けていたかを、創作ノートや日記、書簡と突き合わせて実証した。
〈2〉佐々木幹郎の詩の生成論に対し、菅原克也は小説がどのように出来上がるかに注目した。物語を内容、言説と行為の三つの「相」に分けて、近代文学の名作がどのように紡ぎだされたかを読み解いた。
〈3〉国分良成は現在の日中関係がなぜこのようになったかについて、中国の国内政治という視点から分析し、中国の対日関係はつねに国内政治の季節風に晒(さら)されていること、最高指導者の個人的意志が外交に影を落とすことを明らかにした。
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