文化の翻訳
- 著者:青木 保
- 出版社:東京大学出版会
- 装丁:単行本(204ページ)
- 発売日:2012-05-18
- ISBN-10:4130033530
- ISBN-13:978-4130033534
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フィールドにおける研究者にとっての倫理とは、バーンズの指摘する以上の四点を守っていれば(といっても、一体守るとはどういうことなのだろうか)すむということではない。
スタイナーがオーキプ・マンデルシュタームの十六行詩のロバート・ローウェルの英訳を引用して、この詩をとことんまで読み尽そうと試みることがロシア語においてスタイナー自身がそれを行ない得ない以上、それは愚かなむなしいことであるというとき、それはスターリン治下のソヴィエトにおける唯一のロシア語を話すものとしての象徴性、つまりはこのスターリンについての十六行詩が惹き起した詩人を死に至らしめた逮捕という現実のコンテキストとともに、そこに示された詩としての言語のあらゆる可能性がそれ自体殺人を招くものであったということが、翻訳機械の接近を寄せつけない要素をひめるものであることを明示する。
われわれは、その社会自体に属する一人の哲学者からはっきりとした明確で抽象的な説明を得ようと期待することはできない。原住民は己れの基本的な考え方を当然のこととして考えているし、もし何か信仰のことについて理由づけをしたり疑問をいだいたりした場合には、いつも具体的で細かい点についてそれを行なうのである