コラム
若島 正「2024年 この3冊」毎日新聞|武田崇元、横山茂雄『霊的最前線に立て!オカルト・アンダーグラウンド全史』(国書刊行会)、前川淳『空想の補助線』(みすず書房)、平中悠一『「細雪」の詩学 比較ナラティヴ理論の試み』(田畑書店)
2024年「この3冊」
<1>『霊的最前線に立て!オカルト・アンダーグラウンド全史』武田崇元、横山茂雄著(国書刊行会)
<2>『空想の補助線』前川淳著(みすず書房)
<3>『「細雪」の詩学 比較ナラティヴ理論の試み』平中悠一著(田畑書店)
<1>は群を抜くオモシロ本。対談の妙もさることながら、詳細な日本のオカルト史として資料的価値が高い点も見逃せない。「現代では接点がないインテリほどそういう世界に触れるとコロッといってしまうという問題がある。その点、わしもあなたも初期の段階でワクチンを打たれてたんだよ、土俗オカルト・ワクチンを(笑)」という武田崇元のホットにしてクールな態度は、陰謀論が蔓延する現在において貴重なものだ。
<2>は最も共感した本。折り紙だけでなく、話は数理へ、文学へ、そして宇宙へと広がる。その精神の働きの自由さ!
<3>はアン・バンフィールドのノン・コミュニケーション理論を媒介にして『細雪』を分析する試み。谷崎がヴァージニア・ウルフの同時代人として新たな相貌を得るところに感銘を受けた。
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