書評

『西の魔女が死んだ』(新潮社)

  • 2017/09/04
西の魔女が死んだ  / 梨木 香歩
西の魔女が死んだ
  • 著者:梨木 香歩
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(226ページ)
  • 発売日:2001-08-01
  • ISBN-10:4101253323
  • ISBN-13:978-4101253329
内容紹介:
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
中学校に入ってすぐ、学校が苦痛の場となってしまった少女、まい。両親は彼女を、しばらく田舎に住む英国人の祖母の家でのんびりさせることに。大好きな祖母から、自分たちの家系には不思議な力が受け継がれていると聞いて、まいも魔女になるべく基礎トレーニングを開始。それは規則正しく生活し、強い意志を持つことで……。

感受性の強い少女が、自分なりに生きる精神力を獲得していく姿が心に残る。数々の児童文学の賞を受賞した作品だが、大人にも感銘を与える内容。01年に新潮文庫版が刊行され、20〜30代の女性を中心に、幅広い層に読まれている(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2007年)。

著者は基本的に、インタビューなど宣伝活動はしない。大きな仕掛けもなしに、毎年「新潮文庫の100冊」キャンペーンではトップ10に入る部数を記録し、今も年間10万部前後が売れるロングセラーとなっている。

04年に新潮社がネットで募ったおすすめ文庫の読者アンケートで1位を獲得。ネット書店「アマゾン」でも「優しい気持ちになれた」「ラストは自然と泣けた」と140以上のレビューが寄せられる。こうした読み手の思い入れの深さが、大きなアピールとなっている。

「この作品には、梨木さんの本質が現れている」と担当編集者。「周囲の多様な生き方を肯定する祖母の姿勢は、梨木作品に繰り返し現れるテーマ。生きにくさを感じている人の心の痛みに触れ、外の世界とつながる力を示してくれることも魅力」

来年には映画化作品が公開される予定で、原作本としても注目されている。ミリオンセラーの仲間入りをする日は近い。
西の魔女が死んだ  / 梨木 香歩
西の魔女が死んだ
  • 著者:梨木 香歩
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(226ページ)
  • 発売日:2001-08-01
  • ISBN-10:4101253323
  • ISBN-13:978-4101253329
内容紹介:
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2007年9月9日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
瀧井 朝世の書評/解説/選評
ページトップへ