内容紹介

『警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉』(筑摩書房)

  • 2023/01/04
警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉 / 山田 風太郎
警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉
  • 著者:山田 風太郎
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(490ページ)
  • 発売日:1997-05-01
  • ISBN-10:4480033416
  • ISBN-13:978-4480033413
内容紹介:
初代警視総監川路利良を先頭に近代化を進める警視庁と元南町奉行駒井相模守、元同心、元岡っ引の知恵と力を駆使した対決を2冊で送る。大久保利通、岩倉具視、一葉、山田浅右衛門ら実在の人物と架空の人物が銀座煉瓦街を駆けめぐる。
私はつくづく男が好きなのだと思う。風太郎小説をなぜ読むのかといったら、それは何よりもまず〈凄い男〉がおおぜい出てくるからだと思うもの。

男の美徳と悪徳を、強さと弱さを、気高さとマヌケさを……すべてを濃密に煮詰めた男たちが出てくる。明治というめちゃくちゃな時代を生きた、めちゃくちゃな男たち。偉人伝などという行儀のいい言葉にはおさまりきらない、もっと強烈な生理を持った野郎たち。怪人伝あるいは(風太郎好みの言葉で言うなら)妖人伝だ。たとえば……『警視庁草紙』の稀代のマキャベリスト川路利良の、あの「食えないおやじ」ぶりに、私はわくわくしてしまう。通俗にして低俗にあらず。過激にして愛敬あり。

男たちの多くは横死、犬死に、無駄死にをする。風太郎は言う。「人の世すべてかくのごとし」。風太郎小説には「溜息のあとの薄笑い」「号泣のあとの哄笑」といった感触が残る。そこも、好きだ。

(『山田風太郎明治小説全集』刊行によせて)

【この内容紹介が収録されている書籍】
アメーバのように。私の本棚  / 中野 翠
アメーバのように。私の本棚
  • 著者:中野 翠
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(525ページ)
  • 発売日:2010-03-12
  • ISBN-10:4480426906
  • ISBN-13:978-4480426901
内容紹介:
世の中どう変わろうと、読み継がれていって欲しい本を熱く紹介。ここ20年間に書いた書評から選んだ「ベスト・オブ・中野書評」。文庫オリジナルの偏愛中野文学館。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉 / 山田 風太郎
警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉
  • 著者:山田 風太郎
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(490ページ)
  • 発売日:1997-05-01
  • ISBN-10:4480033416
  • ISBN-13:978-4480033413
内容紹介:
初代警視総監川路利良を先頭に近代化を進める警視庁と元南町奉行駒井相模守、元同心、元岡っ引の知恵と力を駆使した対決を2冊で送る。大久保利通、岩倉具視、一葉、山田浅右衛門ら実在の人物と架空の人物が銀座煉瓦街を駆けめぐる。

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