私の「漱石」と「龍之介」
- 著者:内田 百けん
- 出版社:筑摩書房
- 装丁:単行本(255ページ)
- 発売日:1965-05-01
- ISBN-10:4480010378
- ISBN-13:978-4480010377
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やつとお葬ひになつて、向うの式場から、鉦の音が聞こえて来る。私は煙草を土間に投げすてて、式場の方へ行つた。真中辺りに空いた席があつたので、そこに腰を掛けた。薄暗くて温かくて、身体の方方が伸び伸びする様で、連日の疲れでほつとした。お経の声を聞きながら、うすら眠い様だなと思ひかけた時、突然、その気持とは何の関係もなしに、腹の底から大きな何だか解らない生温かい塊りが押し上がつて来て、涙が一どきに流れ、咽喉の奥から変な声が飛び出して、人中でわめきそうになつた。
それで、慌てて場外に出て、入口の柱に凭(もた)れた。広場に向かつて、大きな口を開けて、わあわあと泣いた。涙が頬から胸に伝ひ、又足許にぽたぽたと落ちた。白けた広場が、池の様に水光りがした。
二十年この方、いろんな目に会つたけれども、こんな事を繰返した覚えはない。さうして、これから先も、もう一生涯さう云ふ事はなささうに思はれる。
旦那、遊んでてはいけませんや。そりや、今日遊んでゐられるちふな結構なこんだが、それじや済みますまい。
だから云はないこんではない。なんにもしないで、ぶらぶらしてゐなさるから、そら、退屈するからつい悪遊びをする。旦那、そりやまあ、遊んでゐるうちは癒りませんや。
引越の荷もつわ尾張屋にかぎる、おわしがやすくて第一しんせつです尾張屋には大工を置て引越の時にわ其大工が戸のいのかんのや又たな板を無料でなをしてくれる大家さんにたのんでもすぐには直らん尾張屋わ勉強です引越がをそいと其のばんにこまるなにほどとほくても午後二時までに荷物を尾張屋わ届けるから引越の為にあしたわやすむと云ふ事がありません全く尾張屋わ勉強です是非一度たのんでごらんなさい