荷風追って坂の魅力味わう
タイトルにある「凸凹」は、起伏の意味だ。東京を歩き回るとき、坂と丘と谷を実感する、と著者の大竹さんは言う。起伏を経験するとき、東京は味わい尽くせぬ魅力を開示してくれる。それも永井荷風の歩いた場所を介して、その魅力を考えようというのだから、面白いに決まっている。荷風の愛した東京・山手の坂。千代田区、文京区、港区、品川区の坂を語る言葉の豊かさに瞠目する。
大竹さんは7年前に『日和下駄とスニーカー 東京今昔凸凹散歩』を出した。今回の本は、品切れになってしまったその本をアップデートして地名を最新のものに書き換えたうえで、新たに文章を書き足した。入魂の一冊である。