書評
『古代ギリシアの民主政』(岩波書店)
「民主主義は最悪の政体であるといわれてきた」と指摘したW・チャーチルは「ただし、今まで人類が営んできた全ての政体を除けば」と付け足すことを忘れなかった。また、民主政が過激派によって煽られやすい面を見せたとき「衆愚政治」とレッテルをはられたこともある。
このような民主政の弱点が示唆されがちなのは何故なのか、それは民主政が人類による傑出した政体であるからではないだろうか。その歴史的事情をたどれば、やはり古代ギリシアにさかのぼるしかない。
長い間、人類は少数の支配者と大多数の被支配者という形で政治を営んできただけだった。だが、紀元前六世紀末、「順ぐりに支配し、支配される」という政体が考えつかれた。哲学者アリストテレスは民主政をそのように表現したが、民主主義の世の中に生きている今日のわれわれにはそのような実感はない。というのも、近代「民主主義」は理念でしかないが、古代「民主政」はそこにある生活であったのだ。本書は、この「生きるもの」としての古代民主政の生態を政治家、知識人、庶民の心情にまで立ちいって生き生きと描き出してくれる。
このような民主政の弱点が示唆されがちなのは何故なのか、それは民主政が人類による傑出した政体であるからではないだろうか。その歴史的事情をたどれば、やはり古代ギリシアにさかのぼるしかない。
長い間、人類は少数の支配者と大多数の被支配者という形で政治を営んできただけだった。だが、紀元前六世紀末、「順ぐりに支配し、支配される」という政体が考えつかれた。哲学者アリストテレスは民主政をそのように表現したが、民主主義の世の中に生きている今日のわれわれにはそのような実感はない。というのも、近代「民主主義」は理念でしかないが、古代「民主政」はそこにある生活であったのだ。本書は、この「生きるもの」としての古代民主政の生態を政治家、知識人、庶民の心情にまで立ちいって生き生きと描き出してくれる。
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