後書き

『台湾の妖怪図鑑』(原書房)

  • 2024/05/31
台湾の妖怪図鑑 / 何 敬堯
台湾の妖怪図鑑
  • 著者:何 敬堯
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(280ページ)
  • 発売日:2024-04-12
  • ISBN-10:456207406X
  • ISBN-13:978-4562074068
内容紹介:
おとなりのお化けと仲良くなれます。お化け好き必携。これで安心です。お化け友の会・京極夏彦(小説家)台湾全土の妖怪を網羅した図鑑が日本初紹介!台湾の妖怪はどんな名前? どんな姿… もっと読む
おとなりのお化けと仲良くなれます。お化け好き必携。これで安心です。
お化け友の会・京極夏彦(小説家)

台湾全土の妖怪を網羅した図鑑が日本初紹介!

台湾の妖怪はどんな名前? どんな姿? どこで何をしているの? 台湾全土を渡り歩き地元の人や原住民に丁寧な聞き取りを続けてきた著者が、108の妖怪をイラストとともに解説。

数百歳の長寿妖怪から、生まれたばかりの現代妖怪まで、台湾全土から大集合!

人間は昔から妖怪たちを恐れてきましたが、妖怪は本当に災いをもたらすだけの存在なのでしょうか? 実は、妖怪とは人間の想像力が生み出した存在で、そこにはふるさとの記憶や歴史が映し出されているのです。妖怪なんか嘘だと言って見向きもしなければ、そこに凝縮された貴重な文化の魅力を見逃すことになるでしょう。(本文より)



目次

刊行によせて
真夜中の豊かな土壌 林 和君
妖怪オンラインの新地図にログイン 黄 震南

はじめに

第一部 水の妖怪たち
木龍:船の妖怪
亀将軍:島になった巨大亀
龍碽:大砲の妖怪
火鰐:妖怪の恋物語
龍女:龍王の娘
漈鬼:落漈島の亡霊
《妖怪探訪記》鬼子空の怪談
鯊鹿児:サメと鹿の奇獣
化け蟹:水中の悪魔
魔尾蛇:水ヘビの妖怪
泄尿婆:海に棲む女の妖怪
海和尚:海に棲む魚人
臭聾王爺:耳の悪い龍神
水鬼:身代わりを求める亡霊
阿卻:北香湖の女幽霊
ドジョウの精:災いの水妖怪
金星人魚:幸せの石珠
剣龍魚:剣潭に棲む妖怪
ナマズの精:洪水の原因
人面魚:魚肉はうめえか?
もっと知りたい台湾妖怪 水の妖怪たち

第二部 山の妖怪たち
青人:狡猾な怪物
蛇首:ヘビ人間の怪談
鉤蛇:恐怖の巨大ヘビ
蛇郎君:妖怪の結婚
虎姑婆:暗夜の人食い妖怪
老猴魅:セクハラ妖怪
巨象牛:謎の巨大牛
制風亀:不思議な亀の伝説
ハクビシンの精:妖艶な女妖怪
魔神仔:山に棲む妖怪
鷹哥:石になった鳥妖怪
蟾蜍公:善悪二つの顔を持つ
四跤仔神:アマガエルの伝説
無首牛:三貂嶺の怪獣
黄衣の小飛俠:高山の妖怪
火麞:鳴き声が火事を呼ぶ
黒虎:虎の悪霊
白虎:胎児をのみ込む
天狗:不吉な流星
煞神:災いの邪神
麒麟颶:風中の炎雲
鼠尾雲:いたずらネズミ
竹篙鬼:竹林の怪
地牛:地震の原因
紅い服の少女:山中の人影
もっと知りたい台湾妖怪 山の妖怪たち

第三部 里の妖怪たち
金銀鬼:お金の妖怪
龍銀:空飛ぶお金
金鯪鯉:黄金の霊獣
風沙鬼:西畔陰鬼
鬼仔螟:バッタになった亡霊
鶏角精:ニワトリの伝説
猫鬼:妖怪ネコの災い
猫爺:神になったネコの霊
猪母鬼:ブタの精のたたり
猪哥石:ブタの妖怪
ヤモリの精:不思議な鳴き声
ムカデの精:災いも幸福も
詩魂:剣潭の女幽霊
女魂花:七美人花の伝説
月裡:古井戸の幽霊
林投姐:台南の女幽霊
陳守娘:最強の女幽霊
鬼母:棺のゆりかご
鬼新娘:生者と亡霊の結婚
石鬼:石を投げる妖怪
人面牛:言葉を話す牛
牛頭と馬頭:冥界の番人
墓坑鳥:怨霊の化身
癲病蟲:病を起こす怪虫
殭屍:悪魔になった死体
西瓜鬼:不気味な笑顔
莧菜鬼:恐ろしい奇術
掃帇神:邪気を祓う
屎缸伯母:トイレの鬼神
椅仔姑:降霊の儀式
宮灯姐さん:ある女学生の魂
金魅:人食いの魔物
黒狗の精:犬の骨の妖怪
台陽妖鳥:華麗に舞う鳥
墓の妖怪:動く石像
蜘蛛女:十八嬈の伝説
灯猴:ランプの妖怪
ビー玉小僧:壁越しの音
白馬神:財宝の守り神
《妖怪探訪記》財宝を守る白馬の伝説
もっと知りたい台湾妖怪 里の妖怪たち

第四部 原住民族に伝わる妖怪たち
烏鬼魚人:エラを持つ怪人
風婆:洞窟を守る怪人
煞魔仔:黒魔術の魔女
撤哈魄:頭のない妖怪
鰻王:水辺で人を襲う
鹿王:森に棲む鹿の神
《妖怪探訪記》ツォウ族の伝説を訪ねて
マザカザカウ:人食い鳥
ダナマイ:洪水を起こす巨人
タクラハ:日月潭の人魚
サメ魔人:恐怖の求婚者
八爪海魔:タコの妖怪
アニト:蘭嶼の亡霊
悪霊の鳥:蘭嶼のフクロウ
風寇:毛の長い妖怪
カチニス:奇妙な妖怪
《妖怪探訪記》カチニスの伝説
班班袋耳:大耳の妖怪
双面人:顔が二つある妖怪
金鹿:宝山の奇獣
青石公:七星潭の守護者
長髪の霊:女鬼の滝の伝説
アリカカイ:邪悪な巨人
瑯嬌猫:恒春の化け猫
魚の精と猫の精:妖怪の戦い
《妖怪探訪記》妖怪スポットの地名
もっと知りたい台湾妖怪 原住民族に伝わる妖怪たち


第五部 台湾妖怪と芸術

第六部 台湾妖怪の繁栄

訳者あとがき
台湾の妖怪はどんな名前? どんな姿? どこで何をしているの? 台湾全土を渡り歩き地元の人や原住民に丁寧な聞き取りを続けてきた著者が、108の妖怪をイラストとともに解説した書籍『台湾の妖怪図鑑』から、訳者あとがきを公開します。

読んで楽しい、眺めて楽しい妖怪図鑑

台湾では2010年代より台湾妖怪ブームがまきおこり、多くの妖怪本が出版されています。本書はなかでも台湾妖怪を知る入門書、初心者ガイドとしてのわかりやすさ、絵柄や文章の親しみやすさが特徴で、コアな妖怪ファンだけでなく、一般の読者にも手に取りやすい本となっています。
本書は、台湾妖怪を「水」「山」「里」「原住民族に伝わる妖怪」に分類し、左のページにイラストと短い紹介、右のページに妖怪のエピソードとおまけコラムをのせた構成です。最初からじっくり読むのもよいですし、目次やイラストをみて、気になるところから読みはじめるのも楽しいと思います。
また、巻末には台湾の妖怪芸術や妖怪研究に関する筆者の考察をつづった章もあり、いずれも読みごたえがある内容となっています。
本書はもともと台湾の人むけに書かれたものなので、台湾の人ならよく知っている台湾の歴史や文化、地理の知識を前提にしたところもあります。ですが、そのような背景知識がない日本人でも、イラストや文章を手がかりに、それぞれの妖怪のエピソードが十分楽しめる内容です。また、台湾に行ったことのある読者や、台湾に関心のある読者であれば、さらにふかく楽しめる内容となっています。
作者の何敬堯氏は、2010年代からまきおこった台湾妖怪ブームを牽引した作家のひとりで、『妖怪台湾・妖鬼神遊卷』(2017年)、『妖怪台湾・怪譚奇夢卷』(2020年)、『妖怪台湾地図』(2019年)、『都市伝説事典:台湾百怪談』(2022年)などの代表作をはじめ、妖怪を題材とした小説など、数多くの著書があります。
何敬堯氏のこれまでの作品には、それぞれ独自のコンセプトがありました。たとえば初期の『妖怪台湾』シリーズは、日本統治時代以前の台湾妖怪について、文献資料とその解説を収録した書籍でした。また、『都市伝説事典:台湾百怪談』は、戦後から現代までの都市伝説をひろく紹介した本でした。そして、『妖怪台湾地図』は、タイトルから想像されるとおり、台湾の妖怪スポットを北から南にめぐる旅行記のような構成の本で、2022年に原書房より『台湾の妖怪伝説』として日本語訳も出版されています。
そして、何敬堯氏の最新作である本書『台湾の妖怪図鑑』は、筆者の膨大な研究成果をもとにしながら、内容を思いきって重要ポイントにしぼりこみ、ひとつの妖怪にひとつのイラストという図鑑形式で、「読みやすさ」と「親しみやすさ」が格段にアップした本です。
本書はパラパラとページをめくるだけでも楽しい図鑑ですが、簡潔な文章で、各妖怪の基本情報を手軽におさえることができます。
また、イラストはかわいいだけでなく、伝説の内容をふまえて作画されているので、本文を読んだあとにもう一回見てみると、細部にいろいろな発見があるかもしれません!
また、書中で紹介されている各種の伝説は、文中または脚注に根拠となる文献が記され、筆者がフィールドワークで集めた口承伝説は、本文中に具体的な地名などが記されています。本書を手がかりとして、台湾妖怪や民俗文化の研究をさらにすすめていくことも可能だと思います。
豊かな自然に囲まれ、さまざまな民族文化が入り交じり、自然の驚異や異文化の激しい衝突を経験してきた台湾では、妖怪たちの様相もバラエティ豊かで、それぞれにドラマティックです。この本が多くの方々の手にわたり、私たちのよき隣人たちの文化や心を理解するきっかけになることを、心より願っています。

[書き手]出雲阿里(翻訳者)
台湾の妖怪図鑑 / 何 敬堯
台湾の妖怪図鑑
  • 著者:何 敬堯
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(280ページ)
  • 発売日:2024-04-12
  • ISBN-10:456207406X
  • ISBN-13:978-4562074068
内容紹介:
おとなりのお化けと仲良くなれます。お化け好き必携。これで安心です。お化け友の会・京極夏彦(小説家)台湾全土の妖怪を網羅した図鑑が日本初紹介!台湾の妖怪はどんな名前? どんな姿… もっと読む
おとなりのお化けと仲良くなれます。お化け好き必携。これで安心です。
お化け友の会・京極夏彦(小説家)

台湾全土の妖怪を網羅した図鑑が日本初紹介!

台湾の妖怪はどんな名前? どんな姿? どこで何をしているの? 台湾全土を渡り歩き地元の人や原住民に丁寧な聞き取りを続けてきた著者が、108の妖怪をイラストとともに解説。

数百歳の長寿妖怪から、生まれたばかりの現代妖怪まで、台湾全土から大集合!

人間は昔から妖怪たちを恐れてきましたが、妖怪は本当に災いをもたらすだけの存在なのでしょうか? 実は、妖怪とは人間の想像力が生み出した存在で、そこにはふるさとの記憶や歴史が映し出されているのです。妖怪なんか嘘だと言って見向きもしなければ、そこに凝縮された貴重な文化の魅力を見逃すことになるでしょう。(本文より)



目次

刊行によせて
真夜中の豊かな土壌 林 和君
妖怪オンラインの新地図にログイン 黄 震南

はじめに

第一部 水の妖怪たち
木龍:船の妖怪
亀将軍:島になった巨大亀
龍碽:大砲の妖怪
火鰐:妖怪の恋物語
龍女:龍王の娘
漈鬼:落漈島の亡霊
《妖怪探訪記》鬼子空の怪談
鯊鹿児:サメと鹿の奇獣
化け蟹:水中の悪魔
魔尾蛇:水ヘビの妖怪
泄尿婆:海に棲む女の妖怪
海和尚:海に棲む魚人
臭聾王爺:耳の悪い龍神
水鬼:身代わりを求める亡霊
阿卻:北香湖の女幽霊
ドジョウの精:災いの水妖怪
金星人魚:幸せの石珠
剣龍魚:剣潭に棲む妖怪
ナマズの精:洪水の原因
人面魚:魚肉はうめえか?
もっと知りたい台湾妖怪 水の妖怪たち

第二部 山の妖怪たち
青人:狡猾な怪物
蛇首:ヘビ人間の怪談
鉤蛇:恐怖の巨大ヘビ
蛇郎君:妖怪の結婚
虎姑婆:暗夜の人食い妖怪
老猴魅:セクハラ妖怪
巨象牛:謎の巨大牛
制風亀:不思議な亀の伝説
ハクビシンの精:妖艶な女妖怪
魔神仔:山に棲む妖怪
鷹哥:石になった鳥妖怪
蟾蜍公:善悪二つの顔を持つ
四跤仔神:アマガエルの伝説
無首牛:三貂嶺の怪獣
黄衣の小飛俠:高山の妖怪
火麞:鳴き声が火事を呼ぶ
黒虎:虎の悪霊
白虎:胎児をのみ込む
天狗:不吉な流星
煞神:災いの邪神
麒麟颶:風中の炎雲
鼠尾雲:いたずらネズミ
竹篙鬼:竹林の怪
地牛:地震の原因
紅い服の少女:山中の人影
もっと知りたい台湾妖怪 山の妖怪たち

第三部 里の妖怪たち
金銀鬼:お金の妖怪
龍銀:空飛ぶお金
金鯪鯉:黄金の霊獣
風沙鬼:西畔陰鬼
鬼仔螟:バッタになった亡霊
鶏角精:ニワトリの伝説
猫鬼:妖怪ネコの災い
猫爺:神になったネコの霊
猪母鬼:ブタの精のたたり
猪哥石:ブタの妖怪
ヤモリの精:不思議な鳴き声
ムカデの精:災いも幸福も
詩魂:剣潭の女幽霊
女魂花:七美人花の伝説
月裡:古井戸の幽霊
林投姐:台南の女幽霊
陳守娘:最強の女幽霊
鬼母:棺のゆりかご
鬼新娘:生者と亡霊の結婚
石鬼:石を投げる妖怪
人面牛:言葉を話す牛
牛頭と馬頭:冥界の番人
墓坑鳥:怨霊の化身
癲病蟲:病を起こす怪虫
殭屍:悪魔になった死体
西瓜鬼:不気味な笑顔
莧菜鬼:恐ろしい奇術
掃帇神:邪気を祓う
屎缸伯母:トイレの鬼神
椅仔姑:降霊の儀式
宮灯姐さん:ある女学生の魂
金魅:人食いの魔物
黒狗の精:犬の骨の妖怪
台陽妖鳥:華麗に舞う鳥
墓の妖怪:動く石像
蜘蛛女:十八嬈の伝説
灯猴:ランプの妖怪
ビー玉小僧:壁越しの音
白馬神:財宝の守り神
《妖怪探訪記》財宝を守る白馬の伝説
もっと知りたい台湾妖怪 里の妖怪たち

第四部 原住民族に伝わる妖怪たち
烏鬼魚人:エラを持つ怪人
風婆:洞窟を守る怪人
煞魔仔:黒魔術の魔女
撤哈魄:頭のない妖怪
鰻王:水辺で人を襲う
鹿王:森に棲む鹿の神
《妖怪探訪記》ツォウ族の伝説を訪ねて
マザカザカウ:人食い鳥
ダナマイ:洪水を起こす巨人
タクラハ:日月潭の人魚
サメ魔人:恐怖の求婚者
八爪海魔:タコの妖怪
アニト:蘭嶼の亡霊
悪霊の鳥:蘭嶼のフクロウ
風寇:毛の長い妖怪
カチニス:奇妙な妖怪
《妖怪探訪記》カチニスの伝説
班班袋耳:大耳の妖怪
双面人:顔が二つある妖怪
金鹿:宝山の奇獣
青石公:七星潭の守護者
長髪の霊:女鬼の滝の伝説
アリカカイ:邪悪な巨人
瑯嬌猫:恒春の化け猫
魚の精と猫の精:妖怪の戦い
《妖怪探訪記》妖怪スポットの地名
もっと知りたい台湾妖怪 原住民族に伝わる妖怪たち


第五部 台湾妖怪と芸術

第六部 台湾妖怪の繁栄

訳者あとがき

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