書評

『僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ』(岩波書店)

  • 2024/08/08
僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ / 谷口 忠大
僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ
  • 著者:谷口 忠大
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(206ページ)
  • 発売日:2022-01-13
  • ISBN-10:4000297090
  • ISBN-13:978-4000297097
内容紹介:
小学生の悠翔のもとに突然やってきた謎の少女、アリス。まるで赤ちゃんのように何も知らなかったが、悠翔たちから多くを学んでいく。しかしそこに、怪しい影が忍び寄り……!? AIと共存する未来とはどういうものか。「発達する知能」は、いかに実現されるのか。小説と解説の合わせ技で、いざ、めくるめく知の融合体験へ!
両親がAI研究者で、引きこもり中の小学六年生悠翔(はると)は、金髪色白の女の子アリスを預かることになる。四年生くらいに見えるが、言葉は話せず歩けもしない。だが、悠翔とその幼なじみの絵里奈に可愛がられ、自ら探索の意欲もあって多くを学んでいく。アリスは人工知能をつけたロボットであり、悠翔がそれを知らされていないことに問題ありと感じた同級生颯太(そうた)の父親(元AIジャーナリスト)が近づいたため、アリスは彼を傷つけてしまう。

八話から成る物語の一話毎に解説があり、人工知能技術の現状とその技術的、社会的、倫理的問題が語られる。人間の知性と人工知能の相違に身体の固有性と経験の全体性があること、ダメそうでもやってみることの意味、移動による場所の概念の理解の重要性、社会の中での言語獲得と理解の必要性などが浮かび上がりなるほどと思う。急速に実用化が進められようとしている人工知能の本質がとてもよく理解でき、興味深い。本書を読んで、人間と人工知能を持つロボットはまったく異なるものであり、アリスをつくってはいけないという思いを強くした。
僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ / 谷口 忠大
僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ
  • 著者:谷口 忠大
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(206ページ)
  • 発売日:2022-01-13
  • ISBN-10:4000297090
  • ISBN-13:978-4000297097
内容紹介:
小学生の悠翔のもとに突然やってきた謎の少女、アリス。まるで赤ちゃんのように何も知らなかったが、悠翔たちから多くを学んでいく。しかしそこに、怪しい影が忍び寄り……!? AIと共存する未来とはどういうものか。「発達する知能」は、いかに実現されるのか。小説と解説の合わせ技で、いざ、めくるめく知の融合体験へ!

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2022年2月12日

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