書評

『天空の詩人 李白』(講談社)

  • 2024/09/27
天空の詩人 李白 / 陳 舜臣
天空の詩人 李白
  • 著者:陳 舜臣
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(178ページ)
  • 発売日:2017-01-20
  • ISBN-10:4062204193
  • ISBN-13:978-4062204194
内容紹介:
絶筆となった評論エッセイ「天空の詩人 李白」と、未発表の詩集「澄懐集」を通して“漢詩”の豊かさを再発見する一冊!【絶筆】 「天空の詩人 李白」かつて、これほど李白の心の内面に踏み込ん… もっと読む
絶筆となった評論エッセイ「天空の詩人 李白」と、未発表の詩集「澄懐集」を通して“漢詩”の豊かさを再発見する一冊!

【絶筆】 「天空の詩人 李白」
かつて、これほど李白の心の内面に踏み込んだ李白論が、あったろうか。

「群像」2008年1月号から連載が始まり、第7回まで掲載されたところで、著者が脳内出血で倒れたため休載となったまま再開させることができず、絶筆となった幻の連載が初の書籍化! 江戸川乱歩賞でデビューし、推理小説や歴史小説の書き手として知られた陳舜臣さんが、実は晩年に強い関心を持っていたのは詩人・李白でした。李白は誰もが名前を知っている詩人でありながら謎が多く、著者が興味を持ったのも「わからない人物だったから」と書いています。李白の漢詩の内容を1編ずつ繙きながら、謎の詩人・李白に迫る評論エッセイです。

【新発見】「澄懐集」
人生体験を哲学とともに詠み込んだ傑作ぞろいの自作漢詩集。

1986年に陳さんの漢詩集『澄懐集』が限定113部の私家版として和装本で作られていたことが分かりました。中国や大英博物館、ヴェネツィアを旅するなど、作家として過ごす忙しい日々を漢詩で豊かに表現しています。

漢詩の形をした日記収録

陳舜臣が亡くなったのは、2年前。晩年の仕事にこの本に収録されている「天空の詩人 李白」という連載があった。雑誌連載はしかし著者の病気によって中断され、完成をみなかった。

李白の漢詩を一つひとつ取り上げ、解釈をし、短いが適切な批評を寄せる、そんな文章だ。

ただ今度この単行本を手にして一番驚いたのは、表題作と共に収められている「澄懐集」なる私家版の漢詩集だ。1986年にごくわずかな部数だけ刷られたらしい。漢詩の形をした日記である。

パリ郊外にあるバルビゾンを訪ねた。美しい風景が広がる。だが、観光客が多く、野外の食事は台無しになった。著者は「豈料野餐塵砂起/沿途沸溢觀光車」と記した。


天空の詩人 李白 / 陳 舜臣
天空の詩人 李白
  • 著者:陳 舜臣
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(178ページ)
  • 発売日:2017-01-20
  • ISBN-10:4062204193
  • ISBN-13:978-4062204194
内容紹介:
絶筆となった評論エッセイ「天空の詩人 李白」と、未発表の詩集「澄懐集」を通して“漢詩”の豊かさを再発見する一冊!【絶筆】 「天空の詩人 李白」かつて、これほど李白の心の内面に踏み込ん… もっと読む
絶筆となった評論エッセイ「天空の詩人 李白」と、未発表の詩集「澄懐集」を通して“漢詩”の豊かさを再発見する一冊!

【絶筆】 「天空の詩人 李白」
かつて、これほど李白の心の内面に踏み込んだ李白論が、あったろうか。

「群像」2008年1月号から連載が始まり、第7回まで掲載されたところで、著者が脳内出血で倒れたため休載となったまま再開させることができず、絶筆となった幻の連載が初の書籍化! 江戸川乱歩賞でデビューし、推理小説や歴史小説の書き手として知られた陳舜臣さんが、実は晩年に強い関心を持っていたのは詩人・李白でした。李白は誰もが名前を知っている詩人でありながら謎が多く、著者が興味を持ったのも「わからない人物だったから」と書いています。李白の漢詩の内容を1編ずつ繙きながら、謎の詩人・李白に迫る評論エッセイです。

【新発見】「澄懐集」
人生体験を哲学とともに詠み込んだ傑作ぞろいの自作漢詩集。

1986年に陳さんの漢詩集『澄懐集』が限定113部の私家版として和装本で作られていたことが分かりました。中国や大英博物館、ヴェネツィアを旅するなど、作家として過ごす忙しい日々を漢詩で豊かに表現しています。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2017年1月26日

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