書評

『人にはどれほどの本がいるか』(朝日新聞出版)

  • 2026/10/09
人にはどれほどの本がいるか / 鈴木 結生
人にはどれほどの本がいるか
  • 著者:鈴木 結生
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:単行本(260ページ)
  • 発売日:2026-08-07
  • ISBN-10:4022521473
  • ISBN-13:978-4022521477
内容紹介:
四万冊を超える本に囲まれ、九官鳥にトルストイを読み聞かせる日々を送る唐蔵餅之絵。死に際して大量の蔵書を整理した彼は、切り刻んだ書物を身にまとって焼かれた。蔵書、辞書、聖書――知を求める得がたい歓びと、その果てを問う三篇

人にはどれほどの本がいるか
完壁な辞書
猫にバイブル

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

本好きによる本好きのためのような小説集。表題作は、小倉で高級旅館を営むかたわら、本を集め、本を読み、本について友人と語らった男の生涯を描く。毎朝、九官鳥のためにトルストイの箴言(しんげん)集『文読む月日』を読み聞かせ、最後は中村真一郎の直筆原稿や漱石の掛け軸を紙子羽織にして棺に入るような男である。

蔵書論議の場面に、「読書家としての私と蔵書家としての私は違うんだな。そして、私はずっと愛書家になりたかったんだ」という言葉もある。共感する読者は多いだろう。

物語のあちこちに、さまざまな書物や作家の名前が出てきて、本好きの心をくすぐる。ハイライトは晩年の蔵書整理。求人広告を見てやってきた19歳の少女は、面接の最後、「私、テレーゼのようにはならないので」と告げる。求人広告がエリアス・カネッティの『眩暈(めまい)』のパロディーだと気づいたことを、さりげなく伝えたというのだ。

表題作のほか、辞書の間違い探しを競う「完壁な辞書」(「壁」は著者の意図によるものという編集部注がある)、聖書には猫が登場しないというので猫のための聖書を書く「猫にバイブル」の2篇。
人にはどれほどの本がいるか / 鈴木 結生
人にはどれほどの本がいるか
  • 著者:鈴木 結生
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 装丁:単行本(260ページ)
  • 発売日:2026-08-07
  • ISBN-10:4022521473
  • ISBN-13:978-4022521477
内容紹介:
四万冊を超える本に囲まれ、九官鳥にトルストイを読み聞かせる日々を送る唐蔵餅之絵。死に際して大量の蔵書を整理した彼は、切り刻んだ書物を身にまとって焼かれた。蔵書、辞書、聖書――知を求める得がたい歓びと、その果てを問う三篇

人にはどれほどの本がいるか
完壁な辞書
猫にバイブル

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2026年10月3日

毎日新聞のニュース・情報サイト。事件や話題、経済や政治のニュース、スポーツや芸能、映画などのエンターテインメントの最新ニュースを掲載しています。

ALL REVIEWS 書評講座(オンライン受講) ≫オンラインで参加する
現地満席|オンライン参加OK
「読む」側から、 「書く」側へ。
オンライン参加OK/過去回アーカイブ付。
全12回・途中申込OK。豪華講師陣の書評講座、開催中。
  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
永江 朗の書評/解説/選評
ページトップへ