ノンフィクション作家、小説家。上智大学外国語学部中退。日本近代文学への深い関心をもとに、ルポルタージュ、エッセイ、小説、マンガなどの領域を横断した文筆活動を展開。主な作品に、日韓の文化摩擦を描いた『海峡を越えたホームラン』(1988、講談社ノンフィクション賞)、戦後日本、映画を分析した『昭和が明るかった頃』(2001、講談社エッセイ賞)、日本近代を描く『二葉亭四迷の明治四十一年』(1996、司馬遼太郎賞)など。映画や鉄道などエッセイのテーマも多彩。マンガにも関心が高く、谷口ジローのマンガ『「坊っちゃん」の時代』の企画・脚本を担当、手塚治虫文化賞マンガ大賞を得た。2016年には『人間晩年図巻 1990-94年』『人間晩年図巻 1995-99年』(岩波書店)を続けて出版した。
- 著作:
- 『わたしの木下杢太郎』(講談社)関川 夏央
低いけれどよく通る声温泉と海の町、伊東を流れる松川沿いの遊歩道には、木下杢太郎の業績をしるした案内のほか、彼の戯曲『和泉屋染物店』『南蛮寺…
書評 - 『刺青・秘密』(新潮社)関川 夏央
青年の「醗酵(はっこう)する妖しい悪夢」が「甘美にして芳烈なる芸術」に転じる時1910(明治43)年、谷崎潤一郎は24歳だった。生家は没落し、学費…
解説 - 『ヰタ・セクスアリス』(新潮社)関川 夏央
早熟な天才が、たんにそれだけで終らぬための抗抵の軌跡1909(明治42)年2月から森鴎外は、突然再び小説を書き出した。「夏目金之助君」の小説に「…
解説 - 『あめりか物語』(新潮社)関川 夏央
「予は淫楽を欲して已(や)まず」。わがまま勝手をつらぬいて老いた独身者1908(明治41)年、5年におよんだ海外滞在から帰国した永井荷風は、新橋…
書評 - 『婦系図』(新潮社)関川 夏央
「俺を棄てる歟(か)、婦(おんな)を棄てる歟(か)」。”封建的師弟関係”の精華1899(明治32)年、硯友社(硯友社)の新年会で25歳の泉鏡花は、神…
書評 - 『車輪の下』(新潮社)関川 夏央
「自分は詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない」ヘッセは60年代の日本の青年によく読まれた。「受験地獄」「管理教育」がしきりに呪誼され…
解説