ノンフィクション作家、小説家。上智大学外国語学部中退。日本近代文学への深い関心をもとに、ルポルタージュ、エッセイ、小説、マンガなどの領域を横断した文筆活動を展開。主な作品に、日韓の文化摩擦を描いた『海峡を越えたホームラン』(1988、講談社ノンフィクション賞)、戦後日本、映画を分析した『昭和が明るかっ…もっと読む
- 『わたしの木下杢太郎』(講談社)関川 夏央
低いけれどよく通る声温泉と海の町、伊東を流れる松川沿いの遊歩道には、木下杢太郎の業績をしるした案内のほか、彼の戯曲『和泉屋染物店』『南蛮寺…
書評 - 『刺青・秘密』(新潮社)関川 夏央
青年の「醗酵(はっこう)する妖しい悪夢」が「甘美にして芳烈なる芸術」に転じる時1910(明治43)年、谷崎潤一郎は24歳だった。生家は没落し、学費…
解説 - 『ヰタ・セクスアリス』(新潮社)関川 夏央
早熟な天才が、たんにそれだけで終らぬための抗抵の軌跡1909(明治42)年2月から森鴎外は、突然再び小説を書き出した。「夏目金之助君」の小説に「…
解説 - 『あめりか物語』(新潮社)関川 夏央
「予は淫楽を欲して已(や)まず」。わがまま勝手をつらぬいて老いた独身者1908(明治41)年、5年におよんだ海外滞在から帰国した永井荷風は、新橋…
書評 - 『婦系図』(新潮社)関川 夏央
「俺を棄てる歟(か)、婦(おんな)を棄てる歟(か)」。”封建的師弟関係”の精華1899(明治32)年、硯友社(硯友社)の新年会で25歳の泉鏡花は、神…
書評 - 『車輪の下』(新潮社)関川 夏央
「自分は詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない」ヘッセは60年代の日本の青年によく読まれた。「受験地獄」「管理教育」がしきりに呪誼され…
解説 - 『吾輩は猫である』(新潮社)関川 夏央
「寄席がはねたあとの様に座敷は淋しくなった」英文学を外国人が研究して何になるか。それを学校で教えて、ますます何になるか、そのうえなぜか四六…
解説 - 『桜の園・三人姉妹』(新潮社)関川 夏央
「チエホフを思へ、『櫻の園』を思ひ出せ」身代金を自ら払って解放農奴から商人となった父の子・チェーホフは、ロシアの新しい階層に属した。だが彼…
解説 - 『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』(新潮社)関川 夏央
日本の中の北ドイツ 旧制高校文化とトーマス・マン「私にとってトーマス・マンは青春のすべてを象徴する作家だった」と書いた辻邦生は、戦中から戦…
解説 - 『クオーレ』(新潮社)関川 夏央
「学童・児童」という存在の「発見」と成立明治30年代、日本は産業革命と都市化、その巨波のただなかにあった。工場は黒煙を吐き、職工という階層が…
解説 - 『みだれ髪』(新潮社)関川 夏央
商家の娘の烈しい自己肯定は時代原理への無意識の挑戦歌集『みだれ髪』を発表した1901(明治34)年、与謝野晶子はまだ満22歳だった。その子二十櫛…
解説 - 『新潮文庫20世紀の100冊』(新潮社)関川 夏央
「20世紀の100冊」について20世紀最後の年であった2000年、私は新潮文庫編集部の求めに応じて、「20世紀の100冊」の「解説」を書いた。100冊は編集…
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