コラム

張競|2010年今年の三冊『藝術の国日本 画文交響』『六〇年安保メディアにあらわれたイメージ闘争』『戦後日本人の中国像-日本敗戦から文化大革命・日中復交まで』

  • 2017/07/01

芳賀徹著『藝術の国日本 画文交響』(角川学芸出版)

書評する機会を逸した三冊。近江八景をはじめ、日本の絵画を文化史的な視野で展望した『藝術の国日本』は絵画と詩歌との響き合いを読み解きながら、のびやかな文章は「画文交響」の美しい旋律になっている。

藝術の国日本  画文交響 / 芳賀 徹
藝術の国日本 画文交響
  • 著者:芳賀 徹
  • 出版社:角川学芸出版
  • 装丁:単行本(612ページ)
  • 発売日:2010-02-11
  • ISBN-10:4046211873
  • ISBN-13:978-4046211873
内容紹介:
絵画と詩歌、美術と文藝-二つの領域が響き合い、親和する列島の文化空間を往還し、藝術の国としての日本のすがたを描く論文とエッセイの連珠集。

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大井浩一著『六〇年安保メディアにあらわれたイメージ闘争』(読売新聞社)

一九六八年はともすれば情緒的に語られているのに対し、『六〇年安保』はその八年前の大衆運動について冷静な分析を行った。経過の事実よりも、新聞報道の精査にもとづき、メディアによって作り上げられたイメージを究明しようとしている。同時代の社会の動き、海外の情勢にも目配りしている。

60年安保 メディアにあらわれたイメージ闘争 / 大井 浩一
60年安保 メディアにあらわれたイメージ闘争
  • 著者:大井 浩一
  • 出版社:勁草書房
  • 装丁:単行本(348ページ)
  • 発売日:2010-05-27
  • ISBN-10:4326351497
  • ISBN-13:978-4326351497
内容紹介:
学生が最も熱かった時代-その抵抗のエネルギーとは一体どんなものだったのか。新聞メディアと知識人の言動の分析を通して、当時の人々の目に映った時代の姿に肉薄。50年を経て今、歴史としての「60年安保」を捉えなおす。

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馬場公彦著『戦後日本人の中国像-日本敗戦から文化大革命・日中復交まで』(新曜社)

七百ページを超える大著のなかで、馬場公彦は終戦から日中国交までの日本における中国像という、途轍もない大きな課題に挑戦した。考察の対象が総合雑誌や論壇誌に限定されているとはいえ、そのおもな輪郭をほぼ明らかにすることができた。

戦後日本人の中国像-日本敗戦から文化大革命・日中復交まで / 馬場 公彦
戦後日本人の中国像-日本敗戦から文化大革命・日中復交まで
  • 著者:馬場 公彦
  • 出版社:新曜社
  • 装丁:単行本(724ページ)
  • 発売日:2010-09-17
  • ISBN-10:4788512041
  • ISBN-13:978-4788512047
内容紹介:
敗戦から72年の国交回復までの間に、限られた情報からつくりあげられた「中国イメージ」から浮かび上がる日本人の自画像。力作。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2010年12月12日

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