コラム
張 競「2018 この3冊」|山崎正和『リズムの哲学ノート』(中央公論新社)、三浦雅士『孤独の発明』(講談社)、岩尾光代『姫君たちの明治維新』(文藝春秋)
2018 この3冊
(1)『リズムの哲学ノート』山崎正和著(中央公論新社)
(2)『孤独の発明 または言語の政治学』三浦雅士著(講談社)
(3)『姫君たちの明治維新』岩尾光代著(文春新書)
リズムはとらえるところのないもので、これまで哲学問題として正面から論じられたことはほとんどない。(1)は時間、空間、身体、認識、科学など複数の視点からリズムについて全面的な考察を行った。周期的な動きを動態として捉え、その深層構造と意味作用を解き明かした。
文学批評が低迷する現在、(2)は「俯瞰(ふかん)する眼」を分析概念とし、多様なテクストを参照しながら、批評の新たな可能性を示した。言語や文学の境界を横断し、文字史、宗教史、思想史、ひいては文明史的な哲学思考になっている。
近代史について語るとき、政治の表舞台で活躍する政治家たちが注目されがちだが、彼らの背後に女性がいることは往々にして見落とされている。(3)の著者は驚異的な調査力と取材力を発揮し、近代史の知られざる一面を明らかにした。
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