書評

『一度も植民地になったことがない日本』(講談社)

  • 2017/09/14
一度も植民地になったことがない日本 / デュラン・れい子
一度も植民地になったことがない日本
  • 著者:デュラン・れい子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:新書(224ページ)
  • 発売日:2007-07-20
  • ISBN-10:4062724480
  • ISBN-13:978-4062724487
内容紹介:
ヨーロッパ人は毎日、日本の話をしている―日本は不思議でエレガントな「世界の孤児」9・11のテロを「カミカゼ」と呼ぶ、ヨーロッパフツー目線の、赤裸々な日本人評満載。
「日本のマスターズ・カントリー(ご主人様の国)はどこなんですか?」。かつて植民地だった国から来た女性に聞かれ、著者は一瞬、戸惑った。「日本は一度も植民地になったことがないんですよ」と答えると、今度は相手が驚いた。書名は、そんなエピソードから生まれた。

ヨーロッパでは、世界各国の文化や国民性の違いがよく話題にのぼるという。日本のこともよく語られるようで、意外な認識のされ方が多々紹介される。「難しい教養本とは異なり、リズムのよい会話文が多いのが特徴。インテリ層ではなくごく普通の人たちの感覚がそのまま書かれているのが魅力」と、担当編集者の奈良部あゆみさん。

著者の「れい子」さんとは?

日本で女性初のコピーライターとしてヒット作を生んだ彼女、実は「デュラン・れい子」はペンネーム。スウェーデン人と結婚して欧州に渡り、その後アーティストとして活動、日本と欧米の文化交流にも貢献。その生活をホームページで綴(つづ)った内容をベースにしたのが本書。著者ははじめエッセー本を希望したが「メッセージ性が強い」という版元の判断で、テーマを明解に打ち出せる新書となった。

7月の刊行当初では15%だった女性読者が、現在は45%。書店で『女性の品格』と並べて置くなどされ、女性読者の獲得にともない部数が伸びた。若い女性から「ヨーロッパは旅行してきたけれど、こうしたことは知らなかった」という声も。

この類(たぐい)の著作は外国礼賛のスタンスも多いが、著者は自国を卑下せず、公正に意見を述べようとしている。読み手は「自分なら何と言うだろうか」と、思考をうながされる。
一度も植民地になったことがない日本 / デュラン・れい子
一度も植民地になったことがない日本
  • 著者:デュラン・れい子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:新書(224ページ)
  • 発売日:2007-07-20
  • ISBN-10:4062724480
  • ISBN-13:978-4062724487
内容紹介:
ヨーロッパ人は毎日、日本の話をしている―日本は不思議でエレガントな「世界の孤児」9・11のテロを「カミカゼ」と呼ぶ、ヨーロッパフツー目線の、赤裸々な日本人評満載。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2007年10月21日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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