書評
『まこという名の不思議顔の猫』(マーブルトロン)
扁平(へんぺい)な顔に三白眼、鼻から両ほおにかけてのくっきりした法令線。ユニークな顔の猫、まこの日常を紹介する写真集。般若顔の甘え姿や、目を細めた恍惚(こうこつ)顔の食事姿が、なんとも“オモシロ愛(いと)おしい”。
同名のブログで人気を博し、昨年の6月に書籍化(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2008年)。初版は3千部だったが刊行翌日、翌々日と続けて重版がかかり、その後も版を重ねている。著者は飼い主ご夫婦。前田さんは服飾、岡さんはグラフィックデザイナーで、余白を活(い)かした写真集風のレイアウトはもちろん、写真の背景に写るインテリアや雑貨にもセンスが光る。「写真に添えられたコメントも大きな魅力。猫を擬人化せず、あくまで飼い主と猫という距離を保った観察日記であることが、特別猫好きでない読者からも共感を呼んでいます」と、マーブルトロンの担当編集者、石橋淑美さん。
実はまこは、里親探しのボランティアたちに保護されていた。当時はやせ細って毛が抜け落ち、もらい手がつかなかったという。巻末にはそんな彼女を引き取った経緯が淡々と綴(つづ)られている。「可哀想な猫の本にはしたくなかったので、あえて強調はしませんでした。でも、そこを読んで『里親募集に興味を持った』という読者も多く、うれしく思います」と石橋さん。美談を押しつけない姿勢も好感を呼ぶ。読者層は圧倒的に女性で、中学生から80代まで。数冊買って自宅や職場に置き「時間がある時に眺めて癒やされています」という声も。癒やし効果があるとすれば、それは単に可愛いだけでなく、飼い主と猫、双方の愛情と信頼が静かに伝わってくるからだろう。
同名のブログで人気を博し、昨年の6月に書籍化(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2008年)。初版は3千部だったが刊行翌日、翌々日と続けて重版がかかり、その後も版を重ねている。著者は飼い主ご夫婦。前田さんは服飾、岡さんはグラフィックデザイナーで、余白を活(い)かした写真集風のレイアウトはもちろん、写真の背景に写るインテリアや雑貨にもセンスが光る。「写真に添えられたコメントも大きな魅力。猫を擬人化せず、あくまで飼い主と猫という距離を保った観察日記であることが、特別猫好きでない読者からも共感を呼んでいます」と、マーブルトロンの担当編集者、石橋淑美さん。
実はまこは、里親探しのボランティアたちに保護されていた。当時はやせ細って毛が抜け落ち、もらい手がつかなかったという。巻末にはそんな彼女を引き取った経緯が淡々と綴(つづ)られている。「可哀想な猫の本にはしたくなかったので、あえて強調はしませんでした。でも、そこを読んで『里親募集に興味を持った』という読者も多く、うれしく思います」と石橋さん。美談を押しつけない姿勢も好感を呼ぶ。読者層は圧倒的に女性で、中学生から80代まで。数冊買って自宅や職場に置き「時間がある時に眺めて癒やされています」という声も。癒やし効果があるとすれば、それは単に可愛いだけでなく、飼い主と猫、双方の愛情と信頼が静かに伝わってくるからだろう。
朝日新聞 2008年01月20日
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