書評

『カリブの女』(河出書房新社)

  • 2017/11/15
カリブの女 / ラフカディオ・ハーン
カリブの女
  • 著者:ラフカディオ・ハーン
  • 翻訳:平川 祐弘
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(288ページ)
  • 発売日:1999-08-01
  • ISBN-10:4309203248
  • ISBN-13:978-4309203249
内容紹介:
小泉八雲がマルティニークに見たものは…。来日前のハーンの幻のクレオール小説二編を新訳・決定版でおくる。
あまり知られていないことだが、ラフカディオ・ハーンは生涯を通して二編だけ小説を書いたことがある。本書に収められた「チータ」と「ユーマ」がそうである。作品名はいずれも小説の主人公の呼び名でもある。

「チータ」はアメリカのニューオーリンズ南のメキシコ湾にあるグランド・イル島を舞台とし、「ユーマ」は仏領インド諸島中のマルティニーク島の物語を描いている。いずれもクレオール文化の地域である。そのため、小説に出てくる言葉も多種多彩で、クレオール語だけでなく、フランス語、スペイン語やイタリアの方言も登場してくる。

比較文学者である訳者はラフカディオ・ハーンの研究でもその名が知られ、英語、フランス語やイタリア語など多くの外国語に精通している。今回はその驚異的な語学力を生かし、一力国文学を専攻する者にはなかなか手に負えない作品を見事な日本語に翻訳した。おかげでわれわれはこれまででもっとも信頼できるラフカディオ・ハーンの日本語訳を読むことができた。

【この書評が収録されている書籍】
本に寄り添う Cho Kyo's Book Reviews 1998-2010 / 張 競
本に寄り添う Cho Kyo's Book Reviews 1998-2010
  • 著者:張 競
  • 出版社:ピラールプレス
  • 装丁:単行本(408ページ)
  • 発売日:2011-05-28
  • ISBN-10:4861940249
  • ISBN-13:978-4861940248
内容紹介:
読み巧者の中国人比較文学者が、13年の間に書いた書評を集大成。中国関係の本はもとより、さまざまな分野の本を紹介・批評した、世界をもっと広げるための"知"の読書案内。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

カリブの女 / ラフカディオ・ハーン
カリブの女
  • 著者:ラフカディオ・ハーン
  • 翻訳:平川 祐弘
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(288ページ)
  • 発売日:1999-08-01
  • ISBN-10:4309203248
  • ISBN-13:978-4309203249
内容紹介:
小泉八雲がマルティニークに見たものは…。来日前のハーンの幻のクレオール小説二編を新訳・決定版でおくる。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 1999年10月24日

毎日新聞のニュース・情報サイト。事件や話題、経済や政治のニュース、スポーツや芸能、映画などのエンターテインメントの最新ニュースを掲載しています。

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