書評

『タオ―老子』(筑摩書房)

  • 2018/01/23
タオ―老子  / 加島 祥造
タオ―老子
  • 著者:加島 祥造
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(284ページ)
  • 発売日:2006-10-01
  • ISBN:4480422676
内容紹介:
文字の奥にひそむ老子の声、それを聞きとるのは生命のメッセージを感得することだ。さりげない詩句で語られる宇宙の神秘と人間の生きるべき大道(タオ)とは?生き生きとした言葉で現代に甦る『老子道徳経』全81章の全訳創造詩。
この書物はすっかり気に入った。

『老子』を自由体口語詩に訳した、といえばわかりやすいが、逐語訳の翻訳でも、純粋の現代詩でもない。洗練された詩語に訳された老子の言葉は、砂漠のなかで出会った泉のように心に沁みる。不景気もリストラも年金破綻もどうでもよいことに思えてくる。殺伐としていて、せせこましい現代を生きる人間にとって一服の清涼剤である。

そもそも現代詩に訳した発想が面白い。佐藤春夫の「秋衣の歌」を想起させるが、両者は本質的には違う。タオイストである訳者の理解や解釈が入っているのは言うまでもない。中国人や西洋人の英訳も参考にしているから、現代西洋における老子思想の受容も当然視野に入れられている。

仕事に疲れると、いつも手にして読む。毎回新しい発見があるのは不思議だ。くり返し読んでも飽きないのは、二千五百年前に書かれた古典の魅力か、それとも独創的な翻訳スタイルのためか。いずれにせよ、絶対に後悔させない書物である。

【この書評が収録されている書籍】
本に寄り添う Cho Kyo's Book Reviews 1998-2010 / 張 競
本に寄り添う Cho Kyo's Book Reviews 1998-2010
  • 著者:張 競
  • 出版社:ピラールプレス
  • 装丁:単行本(408ページ)
  • 発売日:2011-05-28
  • ISBN:4861940249
内容紹介:
読み巧者の中国人比較文学者が、13年の間に書いた書評を集大成。中国関係の本はもとより、さまざまな分野の本を紹介・批評した、世界をもっと広げるための"知"の読書案内。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

タオ―老子  / 加島 祥造
タオ―老子
  • 著者:加島 祥造
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(284ページ)
  • 発売日:2006-10-01
  • ISBN:4480422676
内容紹介:
文字の奥にひそむ老子の声、それを聞きとるのは生命のメッセージを感得することだ。さりげない詩句で語られる宇宙の神秘と人間の生きるべき大道(タオ)とは?生き生きとした言葉で現代に甦る『老子道徳経』全81章の全訳創造詩。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2000年4月9日

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