「革命」夢見た行動の人
宮崎滔天(とうてん)は1870年に現在の熊本県荒尾市に生まれている。裕福な家で自由な気風に触れて育つ。長じて、自由民権運動に身を投じ、挫折し、帰郷し、そしてまた、「世界革命」へ向けて動き出す。貧富の格差が拡大している。それを克服するには世界革命しかない。ではまず何をやればいいのか。中国で革命を起こすことだ。滔天はそう考えた。
行動の人だった。孫文と親しく交際し、経済的に困窮すると浪曲師を目指し、政府の金で中国人留学生を受け入れ支援した。こうしておよそ百年前の日本を駆け抜けた。戦勝に沸き、大地震が起き、大逆事件があった。とても昔日のこととは思えない。渾身の評伝である。