前書き

『誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる』(祥伝社)

  • 2019/04/04
誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる / 小林せかい
誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる
  • 著者:小林せかい
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(238ページ)
  • 発売日:2019-03-01
  • ISBN:439661683X
内容紹介:
東京・神田神保町にある、カウンター12席だけの定食屋「未来食堂」。1度来店した人なら誰でも50分のお手伝いで1食無料になる「まかない」をはじめ、ユニークで超合理的な仕組みが、話題に。未来食堂の事例とともに、組織・チーム・人の動かし方を考察。
著者はウーマン・オブ・ザ・イヤー2017を受賞した注目の人。
4作目となる著書のテーマは「ゆるいつながりで最強のチームをつくる」です。
今までは、ずっと同じ会社で、同じ人と働くことが“普通”でした。
でもこれからは?
求められるのは「ゆるいつながりで最強のチーム」。
ゆるいつながりの最大のメリットは、「誰でも参加でき、戦力になれる」こと。
会社/サークル/NPO。さまざまな場で役に立つ、
“最強のチーム”のつくり方を、年齢/キャリア/国籍一切不問 年間500人が運営に参加する「未来食堂」の事例をベースに紹介します。本書刊行にあたり、「はじめに」全原稿を公開します。

なぜ、あなたのチームはメンバーの良さを活かし合えないのか?

 この本を手に取ってくださり、ありがとうございます。

私は東京神保町にある『未来食堂』店主、小林せかいと申します。

未来食堂はカウンターだけの小さな飲食店。従業員も私一人だけ。誰も雇っていない、一人きりのお店です。そんな私がなぜこの本を通して、誰とでも一緒にやっていく方法を伝えようとしているのか、不思議に思われたでしょうか。

毎日「誰とやっていくのか分からない」定食屋

実は未来食堂には「50分働くと一食無料」という、「まかない」と呼ばれる仕組みがあり、さまざまな方が日々の運営を手伝ってくれています。

つまり、未来食堂は、私一人きりでやっているにもかかわらず、朝から晩まで入れ替わり立ち替わり誰かがお店を手伝っている、通常の飲食店ではあり得ない形態のお店なのです。

「まかない」は通常の雇用とは異なり、一度来店した方なら誰でも参加できるため、採用等のフィルタリングもありません。年齢/キャリア/国籍、一切不問です。そのため、どんな能力を持った人が、いつ、何人来るのかまったく分からないまま、不特定多数と共に日々、未来食堂を回しています。

この「まかない」や、他にもあるいくつかの仕組みと相まって、未来食堂に興味を持つ方が増え、何度か取材を受けたり講演をしてきました。そしていつも、そういった場で「この仕組みが上手くいっているのはなぜですか?」「この仕組みを私のケースで応用するとすれば、どうすればいいでしょうか?」という質問を多く受けます。

『多くの方が、誰とでも一緒にやっていく方法を探しているのだな』と感じるとともに、振り返ってみると、確かにいくつかの「こうすれば誰とでも一緒にやっていける」工夫を見つけることができました。そういった工夫をまとめたのが、この本です。

多くの人が「誰とでも一緒にやっていくほうがいい」と感じています。確率で考えても、能力を問わない募集のほうが、間口が広がり参加者が増えるわけですから効率的です。ではそのような仕組みを持つところが急増しているかというと、そうでもありません。

最近では「まかない」がいろいろなメディアに取り上げられた故か、未来食堂の仕組み自体を真似しているケースを見受けるようになりました。しかし私の目から見ると、単に不特定多数が集まっているだけの〝弱いチーム〟であるように感じるケースもあります。

ではどのようにすれば、誰でも参加でき、かつ、お互いの良さを活かし合える〝強いチーム〟をつくれるのでしょうか?

「一人」を超えて誰とでも一緒にやっていく

この本では、その答えの一つである未来食堂をつくり上げて得た知見を元に、「一人」を超え、誰とでも一緒にやっていく際に必要となる考え方や、仕組みのつくり方を紹介します。

なお、〝誰とでも一緒にやっていく〟とは、決して、人と仲良くすることや、密なコミュニティをつくることを意味しません。むしろ本文で「仲良くしなくていい」と言い切っています。

あなたに好かれるために〝いいこと〟だけを書くようなことは、していません。本当に意味のあることを伝えるために、あえてはっきりと書いたこともあります。最後まで読んでいただければ、その真意は伝わることでしょう。



私が〝誰とでもやっていく〟ことにこだわり、未来食堂を「まかない」によって運営しているのは、単に効率のためだけではありません。どんな人であっても、「やってみたい」「参加したい」といったひたむきな思いを持つ限り、スキルがないことを理由に断りたくないからなのです。

私は元々会社員で、未来食堂を始めるために会社を辞め、数々の飲食店で修業をしたのですが、思い返してみると本当に〝使えない〟人間でした。

弁当屋ではアルバイト初日に電熱コードを包丁で切ってしまうわ、とあるレストランでは、『ようやく調理場に立てた!』と思ったのもつかの間、あまりの手際の悪さにレジ打ちに戻されたりと、ダメなエピソードには事欠きません。でも、『どうしても未来食堂を開店したい』と、その思いを胸に少しずつスキルを身につけていきました(このあたりの開店前の話は『未来食堂ができるまで』〔小学館〕にまとめましたので、ご興味があればそちらをご覧ください)。

そんな自分だから、スキルがないことを理由に誰かのチャレンジを奪いたくないのです。自分が幾たびもそうやってチャンスを与えられず、悔しい思いをしたからです。

また、未来食堂のこの形は、「優秀か/そうでないか」で人をふるいに掛けたがる世の中への、アンチテーゼでもあります。

私自身の話になりますが、私は幼稚園の頃からスパルタ教育を受けていました。

今ではただの凡人ですが、中学受験の模試では関西地区トップ10に入っていないと叱られ、「1位を取ってもすぐに順位は落ちる」と激励され、優秀でなければ存在してはいけないのかと、子供心に窮屈な思いを抱えていたものです。

能力が高いことは、もちろん素晴らしいことです。しかし真に素晴らしいのは、どんな能力の人であっても、こぼれ落ちない仕組みをつくることではないでしょうか。



〝誰とでも一緒にやっていく〟未来食堂の日々は、面倒くさいこともあります。

でも、どうしても「あなたは使えない人間だからダメだ」と言いたくなかった。

言えなかった。

これからお伝えするのは、そんなギリギリの踏ん張りの中で見つけた、工夫/発見の数々です。

今の私が見ている、「一人」を超えた景色。

それをあなたにも見て欲しくて、私はこの本を書きました。

さあ、始めましょう。

[書き手 小林せかい 未来食堂店主]
誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる / 小林せかい
誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる
  • 著者:小林せかい
  • 出版社:祥伝社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(238ページ)
  • 発売日:2019-03-01
  • ISBN:439661683X
内容紹介:
東京・神田神保町にある、カウンター12席だけの定食屋「未来食堂」。1度来店した人なら誰でも50分のお手伝いで1食無料になる「まかない」をはじめ、ユニークで超合理的な仕組みが、話題に。未来食堂の事例とともに、組織・チーム・人の動かし方を考察。

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