書評

『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社)

  • 2024/08/09
独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 / 読書猿
独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
  • 著者:読書猿
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(788ページ)
  • 発売日:2020-09-29
  • ISBN-10:4478108536
  • ISBN-13:978-4478108536
内容紹介:
本書はインターネットの知の巨人、読書猿による「独学のやり方」を完全網羅した1冊です。独学者は孤独です。やる気が起きないとき、挫折したとき、どの本を読んだらわからないとき、他人と比較… もっと読む
本書はインターネットの知の巨人、読書猿による「独学のやり方」を完全網羅した1冊です。独学者は孤独です。やる気が起きないとき、挫折したとき、どの本を読んだらわからないとき、他人と比較してコンプレックスに押しつぶされそうなとき…どんなときでもこの本を手元に置いておくことで、何らかの答えが見つかる「独学の百科事典」が完成しました。

これまでの勉強本との一番の違いは、全てに学問的裏付けがあり、かつ誰でも使えるようマニュアル化されている点です。「著者一人の経験」や「脳科学神話(あなたはまだ脳の10%も使えていない)」を押し付けるのではなく、「ダメダメでサボってしまう」というヒトの性質を前提に、歴代の独学者たちが開発してきた方法(読書猿さんはこれを「外部足場」と読んでいます)を収集、著者独自の視点で技法に昇華させています。

この本のゴールは、独学する内容、ジャンルを問わず「何を」「どう学ぶか」を自分で決めて実践できること。「誰かのおすすめ」や「偶然の出会い」に依存する人生、そして「忙しいから」と言い訳をつけて学ぶことから逃げる人生をやめることができます。

受験勉強や資格試験などゴールが明確な人に向けて「どう学ぶのか(How)」に答えるのはもちろん「何を学ぶのか(Whtat)」を見つけたい人、「なぜ学ぶのか(Why)」に立ち返りたい人にも具体的な技法が用意されています。

(本書の「序文」より)
この本は確かにあまり賢くなく、すぐに飽きるしあきらめてしまう人たちのために書かれた。独学の凡人である私には、これが精一杯である。
しかし独学の達人が書いた書物よりもきっと、繰り返し挫折し、しかしあきらめきれず、また学ぶことを再開したような、独学の凡人であるあなたの役に立つだろう。
人にものを教えられるのが大嫌い。旅先で道を尋ねるのもいや、家電量販店でパソコンの使い方を訊(き)くのもいや。教えを請うのは何かに負けたような気がする。

だから書店の平台にどーんと積まれた『独学大全』(読書猿著・ダイヤモンド社・3080円)に遭遇したときは、「いいもん見つけた!」と飛びついた。厚いぞ、なにしろ788ページ。レンガみたい。

独学に関するあらゆるノウハウが詰まった本である。資料の探し方や情報の吟味の仕方から、読み方・覚え方まで。しつこいぐらい懇切丁寧で、だからこの厚さになった。

各章のはじめに、独学を志す「無知くん」と独学の達人「親父さん」とのコントのような対話がある。購入前にまずはこの対話だけざっと立ち読みすることをおすすめする。それで「面白い」「使える」と思ったらレジにどうぞ。

第4部に「ある独学者の記録」という文章がある。国語・英語(外国語)・数学について、短編小説のように書かれたこの「記録」を読むと、独学の実際がイメージできる。

ライターであるぼくにとっては、資料の探し方や整理の仕方を解説した第8章・第10章が参考になった。学問を究めるというほど大げさではなくても、日常のちょっとした「知りたい」「調べたい」に役に立ちそう。

本書のいいところは、独学はたいてい挫折するという前提で書かれていること。英会話入門やダイエットと同じように。本書の第1部には目標の立て方や動機付け、学習時間の確保、環境整備と継続などについて詳述されている。10万部突破だそうだが、そのうち独学を続けられる人は何人ぐらいだろう。

梅棹忠夫『知的生産の技術』にはじまり、野口悠紀雄『「超」勉強法』など、ぼくはこの半世紀近くさまざまな独学本・勉強術本を読んできた。本書はその集大成になりそう。今度も挫折するかな?

著者の読書猿はネットでちょっと知られた存在。同名ブログを主宰し、昼間は「いち組織人」として働いているそう。
独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 / 読書猿
独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
  • 著者:読書猿
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(788ページ)
  • 発売日:2020-09-29
  • ISBN-10:4478108536
  • ISBN-13:978-4478108536
内容紹介:
本書はインターネットの知の巨人、読書猿による「独学のやり方」を完全網羅した1冊です。独学者は孤独です。やる気が起きないとき、挫折したとき、どの本を読んだらわからないとき、他人と比較… もっと読む
本書はインターネットの知の巨人、読書猿による「独学のやり方」を完全網羅した1冊です。独学者は孤独です。やる気が起きないとき、挫折したとき、どの本を読んだらわからないとき、他人と比較してコンプレックスに押しつぶされそうなとき…どんなときでもこの本を手元に置いておくことで、何らかの答えが見つかる「独学の百科事典」が完成しました。

これまでの勉強本との一番の違いは、全てに学問的裏付けがあり、かつ誰でも使えるようマニュアル化されている点です。「著者一人の経験」や「脳科学神話(あなたはまだ脳の10%も使えていない)」を押し付けるのではなく、「ダメダメでサボってしまう」というヒトの性質を前提に、歴代の独学者たちが開発してきた方法(読書猿さんはこれを「外部足場」と読んでいます)を収集、著者独自の視点で技法に昇華させています。

この本のゴールは、独学する内容、ジャンルを問わず「何を」「どう学ぶか」を自分で決めて実践できること。「誰かのおすすめ」や「偶然の出会い」に依存する人生、そして「忙しいから」と言い訳をつけて学ぶことから逃げる人生をやめることができます。

受験勉強や資格試験などゴールが明確な人に向けて「どう学ぶのか(How)」に答えるのはもちろん「何を学ぶのか(Whtat)」を見つけたい人、「なぜ学ぶのか(Why)」に立ち返りたい人にも具体的な技法が用意されています。

(本書の「序文」より)
この本は確かにあまり賢くなく、すぐに飽きるしあきらめてしまう人たちのために書かれた。独学の凡人である私には、これが精一杯である。
しかし独学の達人が書いた書物よりもきっと、繰り返し挫折し、しかしあきらめきれず、また学ぶことを再開したような、独学の凡人であるあなたの役に立つだろう。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2021年1月23日

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