後書き

『リキュールの歴史』(原書房)

  • 2024/07/03
リキュールの歴史 / レスリー・ジェイコブズ・ソルモンソン
リキュールの歴史
  • 著者:レスリー・ジェイコブズ・ソルモンソン
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2024-05-27
  • ISBN-10:4562074078
  • ISBN-13:978-4562074075
内容紹介:
薬と甘みの歴史的な出会いリキュールの始まりは、薬効を求めて作った薬草を漬けた蒸溜酒だった。やがて飲み心地をよくするために甘みや香りを足されたことで、酒との相性が抜群になる。現代… もっと読む
薬と甘みの歴史的な出会い

リキュールの始まりは、薬効を求めて作った薬草を漬けた蒸溜酒だった。やがて飲み心地をよくするために甘みや香りを足されたことで、酒との相性が抜群になる。現代のカクテル事情につながるリキュールの驚きの歴史。レシピ付。
料理とワインについての良書を選定するアンドレ・シモン特別賞を受賞した人気シリーズ。


■目次■

はじめに

第1章 砂糖・蒸溜酒・スパイス
「燃える水」
スパイスの時代
その他の珍しく貴重な産物

第2章 大航海時代から植民地主義へ
低地諸国のリキュール事情
大英帝国の建設
熱狂から商品化へ
啓蒙思想からラムへ、そして革命へ

第3章 啓蒙思想と革命への道
レモネードとカフェ
文化の革命から美食の進化へ

第4章 革命後のフランスのリキュール
きわめてフランス的なリキュール
営利主義と体系化

第5章 苦さの悦楽
食前酒と食後酒
イタリアの苦いリキュール、アマーロ
マジックアワー

第6章 パンチからカクテルへ
酔っ払い天国アメリカ
カクテル[Cock-Tail]の誕生がもたらしたもの
禁じられた喜び
禁酒法時代

第7章 20世紀のカクテル
グラスの中の休暇気分
リキュールを通して見た社会
甘い、あまりにも甘い

第8章 カクテルは新たな時代へ
似非マティーニ
変化はレストランの厨房からバーへ
国際的な連携
まるでミレニアムのパーティーのように
ブーム到来

謝辞
訳者あとがき
写真ならびに図版への謝辞
参考文献
付録 世界のリキュール
レシピ集
リキュールの始まりは、薬効を求めて作った薬草を漬けた蒸溜酒だった。やがて飲み心地をよくするために甘みや香りを足されたことで、酒との相性が抜群になる。現代のカクテル事情につながるリキュールの驚きの歴史を記した書籍『リキュールの歴史』から、訳者あとがきを公開します。

薬と甘みの歴史的な出会い

そもそもリキュールとはどんな酒なのか。ビールやワインのような醸造酒とは違う。醸造酒を蒸溜してアルコール度を高めた蒸溜酒(スピリッツ)とも何かが違うようだ。それならカクテルとリキュールの関係は?
著者は洋酒全般やカクテルに詳しくない読者にもわかるように、まずリキュールの定義から本書を始める。人類が偶然に発見した醗酵作用から生まれた醸造酒とは異なり、リキュールの誕生には蒸溜という技術の発明とハチミツに代わる甘味としての砂糖(サトウキビ)の獲得と、大航海時代に得られたさまざまなスパイスや果物の発見が関わっていた。おそらくは健康のためにいろいろな薬草を抽出して飲んだ薬酒から始まったリキュールが、現在のように世界中のバーやレストランで食前酒や食後酒として飲まれたり、お洒落なカクテルのフレーバーとして楽しまれるようになったりするまでには、なんとさまざまな出来事があったことか。
本書は十字軍、ルネサンス、大航海時代、フランス革命など多くの歴史的事件を経て21世紀の現代にいたるまでのそれぞれの時点で、リキュールがどのような役割を果たし、また逆にリキュールがどのような影響を受けてきたかを明らかにしている。読者はリキュールの歴史をたどりながら、はからずも世界史上のさまざまな事件に遭遇し、なるほど、これとこれがこう関係してくるのか、などと考えてワクワクしながら読み進むことになるだろう。
それにしても、恥ずかしながら私はリキュールの世界がこれほど広く深いとは知らなかった。ストレートで飲んだことがあるリキュールはイタリアのリモンチェッロだけ(甘くておいしかった)。お菓子作りに使ったことのあるオレンジキュラソーの正体がリキュールだったことも、本書で初めて知った。あとは昔飲んだカクテルに使われていたいくつかのリキュールの名前を挙げられる程度だ。
本書の著者が謝辞に書いているように、リキュールの世界にうっかり入りこむと、不思議の国のアリスのように深いウサギの巣穴にはまってしまうかもしれない。それでも、知らなかったことを知ることはやっぱり楽しい。本書にはそんな楽しみ方もあると思う。ベースとなるアルコールもさまざまで、フレーバーも舌ざわりも多種多様なリキュールのめくるめく世界を、本書で少しでも楽しんでいただけたら幸いだ。

[書き手]伊藤はるみ(翻訳者)
リキュールの歴史 / レスリー・ジェイコブズ・ソルモンソン
リキュールの歴史
  • 著者:レスリー・ジェイコブズ・ソルモンソン
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2024-05-27
  • ISBN-10:4562074078
  • ISBN-13:978-4562074075
内容紹介:
薬と甘みの歴史的な出会いリキュールの始まりは、薬効を求めて作った薬草を漬けた蒸溜酒だった。やがて飲み心地をよくするために甘みや香りを足されたことで、酒との相性が抜群になる。現代… もっと読む
薬と甘みの歴史的な出会い

リキュールの始まりは、薬効を求めて作った薬草を漬けた蒸溜酒だった。やがて飲み心地をよくするために甘みや香りを足されたことで、酒との相性が抜群になる。現代のカクテル事情につながるリキュールの驚きの歴史。レシピ付。
料理とワインについての良書を選定するアンドレ・シモン特別賞を受賞した人気シリーズ。


■目次■

はじめに

第1章 砂糖・蒸溜酒・スパイス
「燃える水」
スパイスの時代
その他の珍しく貴重な産物

第2章 大航海時代から植民地主義へ
低地諸国のリキュール事情
大英帝国の建設
熱狂から商品化へ
啓蒙思想からラムへ、そして革命へ

第3章 啓蒙思想と革命への道
レモネードとカフェ
文化の革命から美食の進化へ

第4章 革命後のフランスのリキュール
きわめてフランス的なリキュール
営利主義と体系化

第5章 苦さの悦楽
食前酒と食後酒
イタリアの苦いリキュール、アマーロ
マジックアワー

第6章 パンチからカクテルへ
酔っ払い天国アメリカ
カクテル[Cock-Tail]の誕生がもたらしたもの
禁じられた喜び
禁酒法時代

第7章 20世紀のカクテル
グラスの中の休暇気分
リキュールを通して見た社会
甘い、あまりにも甘い

第8章 カクテルは新たな時代へ
似非マティーニ
変化はレストランの厨房からバーへ
国際的な連携
まるでミレニアムのパーティーのように
ブーム到来

謝辞
訳者あとがき
写真ならびに図版への謝辞
参考文献
付録 世界のリキュール
レシピ集

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